the other side of my days
ご意見,ご感想,ごいちゃもんなどございましたら
NISHIMURA Ken <nis@bigfoot.com>まで。


2003/05/03(Sat) 儀式とアルコール
2003/05/04(Sun) 倍の距離は倍の体力じゃない
2003/05/05(Mon) It's about freedom
2003/05/06(Tue) 自分を責めよ,あるいは自分さえ責めるな
2003/05/07(Wed) 初めて
2003/05/09(Fri) 悲願の乾燥機付き洗濯機
2003/05/10(Sat) 理想の美人
2003/05/11(Sun) 組織論


2003/05/03(Sat)

儀式とアルコール

もう普段は全然飲みたいと思わないけど,やっぱり仕事が片づいて解放感がいっぱいのときなんかはビールでも飲みたいなぁと思うことがある。うまいモノ食って,ビールをかっくらって,ワインをどぶどぶと飲んでぐーすか寝る,みたいな。
あれは儀式だったんだなと思う。で,儀式というのはとても重要なんじゃないかとも思う。
仕事が終わったときの儀式。たとえばミザリーに出てくる作家は上等な葉巻を一服するというのが儀式だった。小説が書き終わった時点で,机の引き出しに大切にしまってあった葉巻を取り出して火を付ける。
大きな仕事じゃなくて日々の仕事でも,仕事の始まりと終わりの儀式を自分なりに作るというのはきっと大切。ワインをデカンタに移すのが「儀式なんですよ」というフリーランスの知人がいる。「今日はもう仕事をしないぞ,という区切りなんだよね」という。
なにかビールぐびぐびに代わる儀式を考えようと思いつつ,何となく1人でお寿司をつまんでおしまい,というちょっと悲しい校了の1日。
とはいえエチルアルコールが儀式に必須というわけでもない。そこはまったく切り離しておかないといけないと思う。
友達とチャットしてたら「しかしタバコとお酒を同列に扱うのはなぁ」というので,この際,ちゃんと調べてみようと思ってWHOのページに行ったら興味深い資料がたくさん。すごい時代になったよなと思う。思い立った10秒後にはデータが画面に出てくるんだもんなぁ。
たとえば``A summary of Globl Status Report on Alcohol.''と題された2001年2月の資料(http://www.who.int/substance_abuse/pubs_alcohol.htm)。Management of Substance Dependence Non-Communicable Diseasesという部会がまとめたもの。てわけで,ちょっと気になったところをメモ。
まずタバコとお酒の比較。アルコールによる死者は年に770万人。タバコは3000万人。この数字だけ見ると,タバコのほうがずっとひどいんだけど,アルコールで死ぬ人というのは死ぬまでの長い期間,人間としての人生を送れない。なので,potential lifeという意味では,アルコールが奪っている人生の時間のトータルはタバコよりも多い。はしか,マラリア,unsafe sexより多いという。……,この最後のunsafe sexってのがよくわからんけど,まあ途上国とかアフリカの話だし。WHOに聞くまでもなく,地球上でもっとも人間の命を奪っているのは飢餓と栄養不足,不衛生といったモノだから,unsafe sexというのはそういう線上にあるものなんだろう。
途上国と先進国という比較で行くと,「飲酒は途上国で増えていて,先進国では減っている」というのが世界的な傾向。ところがなぜか日本は例外(この手の資料を見ると,日本は一体先進国なんだろうかと思うことが多い)。非常に強烈な例外で,日本では80年代に飲酒人口が15%増えたというし,女性にいたっては80年代に3倍増。先進国で豊かな国というのはお酒を飲まなくなっていってるのに,日本では逆に収入と飲酒習慣の間に正の相関があったという。若い人の飲酒が増えてるのは日本と韓国で,10代の学生たちが,意識を失ったり酩酊状態になるまで飲んだりする,ということがレポートで紹介されている。
非合法ドラッグによる死者は年間100万人。アルコールによる死者の7分の1。WHOの宣言によると,それがどこか特定の国で合法・非合法かということによらず,物質依存は物質依存ということだし,アルコールについても各地の文化を考慮して,この問題を根絶する有効な方法を模索していく必要があるってことになっている。
東・中央ヨーロッパで男性の飲酒が急激に増えていて,それで男性の寿命が大幅に縮んでるらしい。統計に劇的な形で現れるほど。ロシアでも同じことが起こっていて,この事実が世界に警鐘を鳴らしていると捉えるべき,とレポートは言う。
タイは仏教国なんで日常的にお酒を飲む人口はわずか2%。言われてみれば,タイ人の友達がビールを飲んでる姿を見たことはなかった気がする。
ムスリムの国はもちろん飲まない。でも欧米文化の影響のあるところでは若い人がビールなんかを飲むらしい。アフリカの北のほうとか。
たとえ法的強制力が弱くても,飲酒に法的年齢制限をもうけることで,若者の交通事故率を大幅に軽減させることができる。
自殺率と飲酒には相関がある。飲酒が増えると自殺が増える。この相関は見事でポルトガルの過去100年のグラフの例なんかを見ると結構ぞっとする。で,これは文化や民族によらないらしい。自殺だけじゃなく,殺人や暴力なんかの発生率もその国のアルコール消費量と強い相関があるらしい。
アルコール産業は寡占。グローバルな巨大企業。全部先進国の会社。莫大な広告投資と先進的技術でソフィストケートされたイメージを消費者に植え込んで売ってる。フィリップモリスとかマルボロと同じやんか。自分の国で売れなくなったからって,他国に売りつける。よその国の人間の健康なんて,誰も考えるはずもない。結局アルコール産業も,アヘン戦争と同じ構図なんじゃないか。
これだけハッキリした統計があるのでますます確信するわけだけど,アルコールは遠からずタバコと同じ道を歩むはず。10年か20年か,あるいは50年ぐらいかかるのかわからないけど,いずれ飲酒習慣もネガティブなイメージで語られるようになる……,っていうかアメリカは結構そうなってるんだから,日本もいずれそうなるでしょう。

2003/05/04(Sun)

倍の距離は倍の体力じゃない

やっとお休み。たまりにたまった「泳ぎたい」熱を一気に炸裂させようと,5000m泳ぐつもりで張り切ってプールへ。
3000mを超えたあたりまで全然楽勝だと思ったのに,4000mを超えてからがきつい。ちっとも息はあがらないけど,腕がまわらない。4500mに届いたところで,よっぽどやめようかと思うほど力が入らずに動きが鈍っていく。5000mって,2500m×2本とはワケが違うんだなと思い知った。
結局,合計2時間ちょっとで5000m達成。クタクタ。ドーバー海峡って37kmなんだよなぁ。波とか海流を考えると40km以上と思ったほうがいいだろうから,5000mの8倍だ。うーむ。まだまったく現実味がない。
しかし,泳ぎ続けても息は苦しくない。今までは3ストロークに1度,左右順にブレスをしていたけど,ためしに2ストロークに1度にして,たまに連続してブレスを入れて左右をスイッチする方法にしたら,息が苦しい感じが全然しない。「人間の身体にとって酸素は,車にとってのガソリンと同じです。泳ぎ続けるのに酸素は重要」というのは本当だと思った。空気はたくさん吸わないと駄目だ。人間の祖先が海から陸上にあがってから,もう数億年が経つんだから。
筋力が心肺機能に追いついてない。つまり筋力を付ければもっと速く,長く泳げるようになるってことだ。ここ1,2カ月でだいぶ大胸筋がコンモリしてきたけど,もっと筋力を付けてみたい。

2003/05/05(Mon)

It's about freedom

『Free Agent Nation---The Future of Working for Yourself』(Daniel H.Pink,Warner Books) ,読了。一体ぼくらの仕事と会社の関係って,将来どうなってくの? ってことを,すばらしく明快に描いた本。アメリカでは,すでに労働人口の4人に1人がフリーランス。組織の庇護の元に働くのではなく,自らの電子的,人的ネットワークを駆使して自分で仕事をする,そういう人たちの姿を,著者自らが全米をインタビューしてまわって書いた労作。
インタビューした人の数も多いし,論点も幅広い。とっても丁寧でいい仕事してるなって感じの本。割と分厚い本で,読む前は何をそんなに語ることがあるのかと思ったけど,人と仕事との関わり方が変わるということは,人生設計が変わるということで,それは家族,住居,経済,コミュニティ,学校,政治,保険,老後設計という社会の仕組みがすべて変わっていくってこと。
読んでいて,「なんだ,これはぼくの周囲のフリー連中の仕事のやり方そのものじゃないか」と思う箇所が多々。当たり前か。よくボスが言ってるとおり,もう会社がどうのって時代じゃないんだ。会社というのは求心力を発揮して,みんなが効率的に個性や才能を発揮できる場所であるべきであって,何時間会社にご奉仕したからいくらいくらなんて枠組みとか,何年勤めただとか,正社員か契約社員かだとか,そんな枠組みって,もう成り立たないと思う。固定的な組織というかチーム編成も,もう解体するべきじゃないだろうか。会社が持つべきなのはブランド力。それがあるために,フリーエージェントが自然と集まってくるような,そういう力。
もっと流動的に,もっと自由に,自分がやりたい仕事を,やりたいと思える人たちと,やりたいと思う時に,やりたいと思う場所で。もちろんそんなに何もかも都合よくはいかないけど,フリーエージェントがその道を選ぶ3つの理由は「やりがい,自由さ,自分の時間」。
資本主義って,もともと剰余価値を生み出す資本を中心にした社会なわけだけど,その資本ってのが単に「資金」を意味した時代はもう終わり。日本も製造業で食ってた時代が終わろうとしてるんだから,資本はもう人間の頭脳以外に存在しない。巨大な経済力で会社を経営し,設備投資する人たちだけが資本家じゃなく,これからは1人1人が資本家なんだ。

2003/05/06(Tue)

自分を責めよ,あるいは自分さえ責めるな

『自省録』(マルクス・アウレーリウス,神谷美恵子訳,岩波書店),読了。西暦150年ごろからローマを治めた皇帝にして哲人。ああ,聖人君子という人はこういう人を言うのかもねと思わせるような高邁な魂の記録。きわめて内省的でストイック。いやストイックもなにも,英語のストイックの語源となってるストア哲学の忠実な徒なんだから,そりゃストイックに決まってるわけで。えー,宇宙のロゴスと理性的動物の英知と,えーとなんだっけ。元素と原子と火と土と……。肉体と魂と,その調和が,あれ? 当時の物理学とか論理学はなんだかよくわからないけど,ストア哲学にあるクリアな倫理観と,透徹した人間観察には万古不易の真理がきっとある。
訳者の解説によると,アウレーリウスはスペイン家系ながらもローマ生まれのローマ人。ギリシア以来400年近くにわたって続くストア哲学の正統な後継にして,最後の代表者だとか。ふーん。エピクテートスから思想的発展や独自性はまったくないという。ただ,哲学を志し,書斎人になりたがった本人の意図とうらはらに,政務に追われる大帝国の皇帝としての人生を全うしたアウレーリウスの語り口には,机上の学問にない実際的で情熱的な面がある。確かにきわめて聖人然としした高尚な訓戒を自分に言い聞かせてるかと思えば,「もうたくさんだ!」と若干キレ気味のところもあったり。北の方からゲルマン人が攻めてきたり,遠征中に臣下が謀反を起こしたり,女房が不貞だったり,何人か幼い子ども失くしたりと,まあ大変な人生だったようで。
しかし,ぼくにはどうもあまりにストレート過ぎる気がする。人間の本性はそんなに美しいのだろうか。そんなに美しくあれるのだろうか。ロシュ・フーコーあたりの皮肉な箴言のほうが,ぼくの性に合ってるのかも。
にしても,古典に属するものを読んだのはとても久しぶりかも。

2003/05/07(Wed)

初めて

初めての確定申告で税務署へ。去年は税理士の兄貴に「やっといて」のヒトコトで終わらせたものの,お願いするほどのむずかしさはないし,なんたって申告する経費はゼロなので,ほとんど数カ所数字を埋めるだけ。
約1年ぶりにコンタクトレンズ購入。今度はワンデーで。「じゃあちょっと付けてみましょうか」といって,突然店員さんに目の中にレンズを突っ込まれて驚いた。しかし,久しぶりのコンタクトは世界がキレイに見えていいもんだ。
ためしにコンタクトを付けたままプールで泳いでみる。何となく裸眼のほうがいい気がする。うーん,プールの水が濁って見えるというか。気のせいか。

2003/05/09(Fri)

悲願の乾燥機付き洗濯機

2年ほど前から気になっていたけど,ついに乾燥機付き全自動洗濯機を購入。もう今や7〜9万円で買えますよ,奥さんッ! ついこの間10万円を切ったと思ったところだったのに,家電の進歩は早い。コインランドリーのようなドラム式にしたかったけど,非常に重たく場所も食うので,ふつうの縦型水槽式の8kgタイプ。店員に勧められるまま日立のヤツを8万円後半でゲット。
10年以上使っている洗濯機ともこれでおさらばだ。そして「部屋干しトップ」ともサヨウナラだ。深夜の洗濯も可。干し忘れた洗濯物を2度3度と洗うようなことも,もうしなくていい。
Tさんの歓送会兼ボスの取締役就任祝いで新宿モノリスビルへ。人がたくさん,お久しぶりの人がたくさん。こぢんまりした2次会で元上司と,隣の部の同僚に取り囲まれて糾弾される。ぼくにはぼくの現状認識がもちろんあるわけだけど,「おまえは何もわかってない!」ということ。
12時半。大久保の韓国家庭料理の店でU田さんの熱弁大会が始まっているというので,ヨーカ会に合流。4時ごろまで,まったり雑談。ウーロン茶飲み過ぎた。

2003/05/10(Sat)

理想の美人

『Interpreter of Maladies』(Jhumpa Lahiri,Houghton Miffin Company),読了。2000年のピューリッツァー賞を取った短編小説集。裏表紙にある著者の顔があまりにもぼくの好みの美人だったので,中身を見ずに買った本。著者はロンドン生まれでアメリカ育ちのインド系移民とかで,この本にはノスタルジックな哀愁漂う移民の話,インドの話が数本。大しておもしろいと思えないんだけど,なんでこんな本が,そんな偉そうな賞を取れるんだろうか。

2003/05/11(Sun)

組織論

大学時代の友達と新宿で餃子。食後,超長時間のおしゃべり。話がかみ合っている感じがある限り,どんな話題を持ってきて,どんな意見を言い合っても疲れないものだなと,改めてそういうことを思った。
「キミは自分の置かれた状況をまるでわかってない。とりあえずコレを読め!」と元上司に渡された本,『組織戦略の考え方---企業経営の健全性のために』(沼上幹,筑摩書房),読了。組織論入門みたいなのって,ほとんど初めて読んだけどおもしろいものだなぁ。組織の基本要件を原点から論理的に説き起こし,組織腐敗のメカニズム分析とか「奇妙な権力」の発生原理なんかを解き明かす。警句風の非常にコンパクトな文言でズバリと本質を言いのけたり,組織内に跳梁跋扈する妖怪たちを絶妙なネーミングで分類したりしてるのが読んでて楽しい。で,ぼくが自分の置かれた状況が少しはわかったかというと,これが実にわかった気がするのです。

[Web日記のトップ][ホームページのトップ]

NISHIMURA Ken <nis@bigfoot.com>