the other side of my days
ご意見,ご感想,ごいちゃもんなどございましたら
NISHIMURA Ken <nis@bigfoot.com>まで。


2002/01/01(Tue) らしくない年末年始?
2002/01/02(Wed) 魂の言葉,人生最期の言葉
2002/01/03(Thu) コトバコトバコトバ
2002/01/05(Sat) バターたっぷりのポップコーン
2002/01/06(Sun) MonsterTV
2002/01/07(Mon) 隣のビルで殺人事件発生
2002/01/08(Tue) 血液型性格判断ヤメテクレ,と思うのは偏屈ジジイか
2002/01/09(Wed) リッパナモノを持った甥っ子
2002/01/10(Thu) ネットで宝石鑑定
2002/01/11(Fri) カレー2食
2002/01/12(Sat) 寝グセは水素結合,パーマはジスルフィド結合
2002/01/13(Sun) クローズドキャプションデコーダ
2002/01/14(Mon) ピンク・ダイアモンドではなかったらしい
2002/01/15(Tue) せや,せや! もっと大阪弁のええとこ教えたりィや
2002/01/16(Wed) 母方言
2002/01/17(Thu) マイクが来た
2002/01/18(Fri) 鳴門のうずしおは遠く
2002/01/19(Sat) 一生決まらないドメイン名
2002/01/20(Sun) どこかに君の姿を
2002/01/21(Mon) 頭痛
2002/01/22(Tue) イブプロフェン
2002/01/24(Thu) 猿と人間の違い
2002/01/26(Sat) 初の通訳経験
2002/01/27(Sun) 風邪良くならず


2002/01/01(Tue)

らしくない年末年始?

熱海の実家。家族マージャン。ビールビール。
それにしても,今年の年末年始はちっともそれらしい感じがない。街にも人の顔にも正月だなんて書いてる気がしなかった。なんでだろう。
『漢字と日本人』(高島俊男著),読了。中国語にかぶれぎみなので,漢字と漢語の関係は知ってたけど,それをそれと意識せずに,日本語と漢字の関係を語るのはナイーブ,かも。
山内志朗 『ぎりぎり合格への論文マニュアル』,平凡社,2001,読了。なるほど,これはおもしろい。歯切れの良さと諧謔と。書名の表記をマニュアルにしたがって変えてみました。

2002/01/02(Wed)

魂の言葉,人生最期の言葉

丸の内線新宿駅の,地下へ通じる階段の途中に山下書店というのがある。3箇所ぐらいにばらけてて,それぞれ階段の踊り場の絶妙の場所に本棚が並んでる。時間があると,つい立ちよって立ち読みしてしまう。
文芸春秋の新年号にあった「魂の言葉」という遺言の特集が気になった。過去数十年の間に何らかの事情で,何らかの形の遺書を残した日本人の魂の言葉。
モンゴイカ,おいしゅうございました,と書き残して自殺したのは,若きマラソンランナー円谷幸吉という人だった。'68年没ということだから,どうりで'70年生まれのぼくが良く知らないはずだ。えっ,ふつう知ってる?
自衛隊入隊後にめきめきと長距離ランナーとして頭角を現わした幸吉が,国民が寄せる甚大な期待に反して,故障や不調のために自信を喪失。メキシコオリンピック直前に「父上様,母上様,幸吉はもうすっかり疲れ切ってしまって走れません」と言って,右頸動脈を切って自ら命を絶ったという話。
「幸吉は走れません」と書いて死ぬというのは,今の感覚からはちょっと分からない。そう言やいいだろうがと思う。とはいえ,言えなかったほどのプレッシャー,言えなかった時代,言えなかった気真面目な性格。
姉や兄弟に対して,リンゴがおいしかったありがとうだの,葡萄酒がおいしかっただのとお礼の言葉が淡々としたためられている。その繰り返しの単調さの裏にある,素直な感謝の気持ちと,死によって解放されるのだと確信した人間の安堵した気持ちが,「モンゴイカ,おいしゅうございました」の行間に溢れる。立ち読みしながら,胸がつまる。
ヒョウヒョウと冗談めかした落語家の最後の言葉。責任を引き受けて死へ向かう企業家の決然とした言葉。政治,国家に対する抗議をしたため諫死する活動家の純粋な,ややナイーブすぎる言葉。病苦のうちに絶命を決意した文筆家の手短な言葉。絶筆となることを予感した詩人の静かな辞世の詩。
多くの遺言に見られるのは,配偶者に対する感謝の気持ち,親に対する詫び,子どもに対する「しっかり生きてゆけよ」という言葉。
事故や遭難によって,不意に命を落した人たちの言葉が一番切ない。オスタカ山の飛行機事故(って何年前だ?)で,墜落の瞬間まで7ページにわたって最後の言葉を走り書きした乗客。冬の雪山で,天候悪化のため何日もビバークしている登山家が,食糧や燃料とともに望みがうすれ行く中でしたためた日記。
1年のしょっぱなから,自分の人生最期の言葉はなんだろうかと考えてしまった。

2002/01/03(Thu)

コトバコトバコトバ

サンフランシスコのリカさんが帰国しているので,ごはん。月島へ。もんじゃ焼きウマイ。リカさんの友達の2歳になったばかりの娘が可愛い。

井上史雄 『日本語は生き残れるか――経済言語学の視点から』(PHP研究社),読了。国際化が進む中,世界の言語間に何が起こりつつあるのか,日本語が置かれた現状とは,その未来予測とは。他言語との詳細なデータ比較や実例に基づく分析。個々の言語が持つ市場価値という視点から現状の地球上のコトバのダイナミズムを探る。そんな本。言語というと,誰もがすぐにアツクなるし,根拠がありそうで,実は結構危ういことを声高に主張しがちだけど,この本はその正反対。主観とか主張とか,そういうのがあまりない。経済学を研究するのに個々人の欲望が捨象されるのにちょっと似てる。数字を分析して傾向を探る。かつて言語は政治に強く影響されたけど,いまや言語間に起こっていることにしろ,特定の一言語内に起こっていることにしろ,それはむしろコスト最小化への動き。文法は単純になる方向,他言語と似通う方向にあり,日本語も例外じゃない。
付け足しのように書かれた最後の章で,「日本語は生き残る」と何気なく書かれているけど,本が売れない今の時代らしく,実は書名と内容の乖離は結構ある。もちろん日本語が生き残るかどうかのデータは豊富にあるけど,あまりそこに焦点があるという感じはしない。少なくとも,それを書くことが著者の執筆の動機だったとは思えない。著者自身,日本語が未来にわたって生き残るかどうかの予測なんてのは,経済の長期予測とか天気の長期予報のようなものだと書いている。
それにしてもコトバが気になる。きりがない。きりをつける必要もないけど。頭の中に言語学に関する表層的な知識の雑煮ができつつある気がする。しょせん雑学だけど,日本語とか英語というのが一体何なのかが,ぼんやり見えて来た。

2002/01/05(Sat)

バターたっぷりのポップコーン

映画『ミッション・トゥー・マーズ』『ロミオ・マスト・ダイ』。アメリカ土産のバターたっぷりポップコーンを電子レンジでチン。ジェット・リーってそれほど男前じゃないけど,結構かわいいな。にやけ笑いがイイ。

2002/01/06(Sun)

MonsterTV

Eyeball Chatというビデオチャットソフトを試したら,これがなんだかまだ良くわからんけど,ルータを越えるらしいことが判明。ロンドンのテーンエイジャーの男の子たちとつながって,ちゃんとおしゃべりができたし,ビデオ画像も見えた。ドラゴンボール・ズィーをテレビで良く見てるというので,ぼくはBBCのクイズ番組,The Weekest Linkが好きだと言ったら笑ってた。やっぱりブリティッシュなまりは聞きづらい。

ちょっと思い立って,ARMA(Omoikane GNU/Linux 2.0)というLinuxのディストリビューションを買って来て入れてみた。結構よさげ。
Windowsマシンのほうを最近流行のビデパソにしようと思って,SKNETのビデオキャプチャカード,MonsterTVを買ってみた。これでハードディスク録画ができるぞ。

2002/01/07(Mon)

隣のビルで殺人事件発生

夕方,オープンスペースで打ち合せしていたら,どたばたと警官らしき人がフロアの入口に現われて奥へと向かった。「なんだろうね」なんて話ながら,打ち合せを終えて席に戻ると「捜査に御協力ください」というメールが。隣のビルで殺人事件があったらしい。びっくり。掃除のおばちゃんが,マフラーで首を絞められて用具入れに押し込められていたらしい。
隣のビルというのは,うちの会社が入っているビルの「アネックス(別館)」で,うちの会社の部署も入ってる。

2002/01/08(Tue)

血液型性格判断ヤメテクレ,と思うのは偏屈ジジイか

年齢からすれば,ぼくもそろそろオトナな対応が必要なので,平静を装って「そうですね,聞かれればAB型と答えますけど,ホントはO型です。え,AB型っぽいですか? まあ変人ですからね。でも,O型といっても同じぐらい納得されますよ,はっはっは(笑)」と軽く答えるわけですが,内心馬鹿じゃないと思ってるわけです。血液型で性格うんぬんという奴,いい加減になんとかならんもんか。
気持ちは分かるし話のネタとして楽しいのも分かる。でも,気持ちが理解できるからって現代人が祈祷師に病気を治してもらおうとか,雨乞いのダンスをしたりしないように,まともな科学的知識のある現代人なら,血液型がどうこうなんて恥ずかしくて言えないと思うんだけど。そもそも,血液型占いが差別につながる危険なオカルトだという認識が,どうしていまだに出て来ないのか不思議。
最近,こういうのに疲れぎみ。正しい主張をして,どうして「キミは偏屈だなー」と苦笑いされなきゃいけないんだか,ぼくにはワカラン。正しくないと思うなら,それを指摘するのが,少なくとも一生懸命主張している個人に対する誠実な対応じゃないのか。
何年かおきに血液型占いの話が出るたびに相手かまわず発狂することにしてるけど,今年はそういう年かも。ちっともオトナになりきれないぞ。

2002/01/09(Wed)

リッパナモノを持った甥っ子

夜,義理の姉からメールが届いた。「ほら,ここにリッパナモノが見えるでしょ。男の子ですよ」と医者に言われたらしい。ふむふむ,甥か。

2002/01/10(Thu)

ネットで宝石鑑定

どうしたわけか,手元に素性の良く分からない宝石らしき透明な石が2つあって,思い立って,それが何であるかをインターネットで調べてみた。以前知人の宝石鑑定師にちらっと印象を話したら,「それはピンクダイアじゃないか」と言われて,なんとなくそうなのかと思ってたけど,結局Webを調べまわった結論は「まったくわからん」ということ。
画像を見たり解説を眺めたりしてると,ピンクダイアのような気もするし,全然違う気もする。そもそもピンクじゃない。でも,手元の石ころが何色と聞かれても良くわからん。はたしてコハク色なのかピンクなのかオレンジと言うべきなのか,さっぱり分からん。
どうやら楕円58面カットらしいこととか,カラット数は結構ありそうなことは分かったけど,それ以上のことはまったく不明。硬度とか屈折率が分かればなんか調べようがあるのかもしれないけど,素人には写真と見比べたくらいじゃなんも分からん。ぼくにその宝石2粒をくれた人は「とても良いものだ」とだけしか言わなかったので,まあ「良いものなんだろうな」と思っておけばいいのかもしれない。

2002/01/11(Fri)

カレー2食

取材で大崎へ。ランチはカレー。夜は打ち合せ。またカレー。

2002/01/12(Sat)

寝グセは水素結合,パーマはジスルフィド結合

日本化学会編 『化学・意表を突かれる身近な疑問 ―― 昆布はなんでダシが海水に溶け出さないの?』(講談社),読了。久しぶりに読んだブルーバックス。子ども向け科学,という印象があるけれど,実はブルーバックスはまったく侮れない。非常に面白い。ふとんの中で,「そうか,そーゆーことだったのか!」と30回ぐらい膝を叩いた。高校生のときに有機化学をやって,身の回りモノたちが一体どういう理由でそういう性質を示すのかが理解できたときの,あの「おぉぉ」という感動が。
マーク・ピーターセン 『日本人の英語』(岩波書店),読了。非常に参考になることがたくさん書かれてある一方で,文法,語彙の問題を超えた先にある「自然な流れ」にかかわる英作文の壁を見せられた気がして,ちょっとゲンナリ。本当に語学学習の道のりは長そうだ。

2002/01/13(Sun)

クローズドキャプションデコーダ

クローズドキャプションデコーダを購入。サンヨーのモノで9800円。J-COM東京の流す放送で,CCが入っているものは,有料チャンネルのスーパーチャネルぐらいで,しかも日に2,3本の映画がCC付きという寒い状況だけど,とりあえず,スタートレックを見てみる。うん,ちゃんと英語字幕が表示された。

2002/01/14(Mon)

ピンク・ダイアモンドではなかったらしい

ピンク・ダイア?
宝石鑑定士の知人が,この日記を見てメールをくれた。で,簡単にダイアを見分ける方法。その1。「まず,ダイアをフェイスダウンさせて(平らな面を下に)雑誌などの活字体の上に乗せてみる。もし文字が少しでも透けて見えるようだったら残念ながらダイアではありません。本物のダイアの場合,屈折率の関係でインクの色もまったく見えません」。
その2。「石に息を吹きかけてみて曇りがすぐに(1〜2秒)取れるようだったらダイア。少し時間がかかる(2〜5秒)ようだったらほかの石」。
その3。「石のカットされている面と面の角が丸びを帯びていなく,くっきりシャープであること」。

どれも当てはまらない。ダイアじゃないらしい。ピンクダイアって,本物のダイアになりそこねた安い宝石のことかと思ってたけど,まったく逆に実は希少価値の高いダイアなのね。

2002/01/15(Tue)

せや,せや! もっと大阪弁のええとこ教えたりィや

尾上圭介 『大阪ことば学』(創元社),読了。やっぱし,大阪弁やで! 何ちゅーてもオレの母語は大阪弁やねんで! 大阪弁みたいに微妙な表現できる言葉あらへんで。この本めっちゃ鋭いわ。なんや,そういうことやったんかてボッロボロ目ェから鱗おちんで。
と,思わずうれしくなってしまう本。これ,おもろいわ。せやねん,最近大阪弁取り戻したい思うてんねん。

喉にプリッツェル詰まらせて死にそうなったからゆぅて,別に驚かへんけど,戦争してる最中の国の大統領が悠長にフットボール見てたゆぅんがなんかびっくりやで。

2002/01/16(Wed)

母方言

真田信次 『方言は絶滅するのか---自分のことばを失った日本人』(PHP出版),真田信次 『関西・ことばの動態』(大阪大学出版会),読了。なるほど,ぼくの母語は実は生粋の大阪弁ではなくて,東京方言の影響を強く受けた,ネオ方言としての大阪弁なのかもしれない。むしろ大阪方言のフィルターを通してできあがった東京方言なのかもなぁ。

ひさしぶりに高田馬場。むかし住んでいたところのそばにあるタイ風ラーメン「ティーヌン」へ。転職したてであれこれ揺れる,お年頃のNさん(まもなく27歳)と。ずいぶん店内がこぎれいになった。味はよくなった気がする。

2002/01/17(Thu)

マイクが来た

朝起きて,ふとケータイを見たら留守録メッセージ。そういえば,昨日は電話を持ってでるのを忘れてたんだった。センターにつないで再生してみると,くぐもった男の声がぼそっぼそっと話すのが聞こえた。瞬間,間違い電話かと思ったけど,すぐに男は名乗った。「あの……,マイクです。もう日本に着いて働っらキはじまました」。マイクだ! とうとうマイクが日本に来た。
オフィスから電話してるのか,ずいぶん周囲を気遣ってるような低い声。いやに丁寧な日本語。なんだか不思議。マイクの電話といえば,まず何より「Hey, Ken! What's up, bro! How have you been?」と通りのいい大きな声で切り出すというのが常で,それが,ぼくのイメージするカリフォルニアの抜けるような青い空のイメージだったのに,それがこの声の暗さは……。
さっそく留守電に残された番号,赤坂の法律事務所に電話をかける。ダイヤルしおわってから,マイクの名字は平井だったよな,でも「西村と申しますが,平井様いらっしゃいますでしょうか」なんて言うのは,絶対に変だよな,などと思う。かといって,マイコーさんいますか? なんて変だし,Could I talk to Mr.Hirai, please? なんてことも言うわけがない。とりあえず会社の名前を出してしまおうか,いやそれもないだろう,などと思ってる間に,事務所の女性が電話を取った。チンッ,「ハイッ,○○○○事務所です」。「えーっと」。ビジネスアワーにオフィスに電話しといて「えーっと」はないだろうと思ったり。
電話に出たマイクはやっぱりマイクだった。「Hey, Ken! Wazzzup???」。なんだ元気じゃん。さっそく朝から晩まで使われてるらしいけど「それもね,覚悟してたヨ」って。週末に待ち合わせの約束だけして電話を切る。
サンフランシスコで「また会おう」と言ってから,3カ月。こんなに早く日本に来るなんて。しかし,いくら日系アメリカ人で日本語が話せるとは言っても,いきなり日本で生活するのって,大変だろうなあ。日本の社会,会社,組織ってどうだろうか。

2002/01/18(Fri)

鳴門のうずしおは遠く

取材後,飛行機まで時間があったので,時間的に見れるかどうかわからない鳴門海峡のうずしおへ。「せやけん,巻いとうときは,そらすごいでっせ。せやけど見られるとは限りませんねん」。運転手の言葉は,ぼくにはやや岡山か広島あたりの言葉が入り交じった関西弁に聞こえる。「タクシーやっとったら東京から来はるお客さんも多いですけどね,なんや言葉が冷たい感じがしますわ」。
徳島の言葉は,大阪や神戸で話されてる言葉に限りなく近いらしい。もともとの土地の言葉として阿波弁があるとは言うものの,大阪や神戸といった大都市が近く,テレビ放送も大阪のものが入るため,ほとんどの人は大阪弁が話せるという。実際,徳島駅前を歩いていて聞こえてくる言葉はきわめて大阪の言葉に近く,「なんでやっ,めっちゃ言葉にてるやん。ここはどこやねん!?」と,大阪育ちのぼくが思うほど,違和感がない。特に若い世代は何か1つの「関西方言」という言語圏に属してるという感じが強くする。
うずしお見れず。運転手のすすめにしたがって,北泊という漁村を見に行く。何ということはない,のどかで小さな漁村。1kmほども離れた小鳴門海峡にかかる橋の高みからみると,波のない内海の穏やかな海面に,その小さな町は船のように浮かんで見える。「徳島の観光ゆーたって,うずしお。それが一番で,それだけですねん。せやけど,ここから眺める風景が,私は好きですねん。ええでしょ,昔ながらの日本ののどかさがあって,NHKのドラマの舞台に選ばれてもおかしない感じやし」。運転手さんは,そういって静かに笑う。青と緑の海面に,暮れゆく陽光が,砕けたガラスをばらまいたような輝きを与えている。海面のところどころに,床に落ちたフロッピーディスクのように黒い四角い場所がある。海苔の養殖。
遠くから眺めていても,夕げをしたくする音が今にも聞こえてきそう。「お兄ちゃん呼んどいで,ご飯やでって」。ネギを刻む音。遊びたりない子供たちの喚声。少しあいた窓からゆげが漏れる。各家庭の食卓に何が並ぶかわかるほど,ゆげには豊かな香り。
なんの変哲もない漁村。最初,そんなところへ連れてこられて何となくだまされた気がした。うずしおは見れなかったし,「のどかな漁村って,それで!?」と思ってた。余裕があると思っていた時間も,それほどでもないし,そもそも1時間もあれば資料の1つでも読めたのに,と思う。空港まわりのタクシーの1日の売り上げは,不景気のおり,平均1万円ほどで,1日に4,5人乗せるうち,1人ぐらいは中遠距離に行ってもらわないと商売にならないという。行きのタクシーで聞いたそんな話を思い出しては,「なんや夕方最後の客やからってテイ良く引っ張り回されてるんちゃうかな?」と心の中でつぶやく。
北泊への道のりはかつて有料道路だったという海を見渡せる峠道。「春にでもドライブしたら気持ち良さそうですね」。「お客さん,結婚はまだ? ああ,そう。それやったら,彼女さん連れて来てくださいよ。徳島の南側はね,そらーっ海がきれいですよ。自然のままですけん,何ともいえん色ですよ」。にこにこと地元の話を続ける運転手。
方言の人なつこさ。ダイレクトに響いてくる感じ。飾らなさ。家族の話やインターネットの話をするときでも,その内容が,どことなく素朴。「なんや,よう知りませんけど,今度はエイエスディーエヌっちゅーんですか,あれがええんでしょ?」。聞く側にまわってたぼくはあわてて口を挟む。「ちゃいます,ちゃいます! ADSLやないと」。「ついてけませんわ,もう(笑)」。
「奥さんでけたら,また来てください。あ,そうやっ,阿波踊りの時期に来てくださいよ。あれはもうすごいですよ,街ぜんぶが全然いつもとちゃいますから」。大阪人の抜け目なさ,ともするとがめつさのようなものがない。都会人の慌ただしさや計算高さ,よそよそしさもない。なんの変哲もない漁村だったけど,たぶん本当に良かれと思って連れて行ってくれたんだろう。

「会社よってく?」。「いや,1,2時間仕事したって仕方ないっしょ」。成田空港のモノレール乗り場で聞こえてくるサラリーマンの会話に心の中で激しく同意しつつ,ぼくはやっぱり会社へ。なぜか気分は高揚していて,2時間の打ち合わせもサクサクと。

2002/01/19(Sat)

一生決まらないドメイン名

掃除掃除。テレビの配置を変えたい。テレビをおけるテーブルがほしい。
アルパチーノとラッセルクロウ共演の映画『インサイダー』を見てたら,insider.jpってのもいいか,とか,いやoutsider.jpかなとか悩んだり。マイドメインがほしいけど,考え出すと全然決まらん。

2002/01/20(Sun)

どこかに君の姿を

久しぶりに行く伊勢佐木町。驚いたことに,伊勢佐木町を良くふらふらしてたのはもう10年以上も前のことだった。すごい変わり様。良く通った古本屋がつぶれてた。

ちくちくとネットワークの設定を変えて,チャットなぞ。カナダ,カルガリーの男の子。23,4歳かと思ったらなんと17歳。林業だそうな。ベトナム系ですごくエキゾチックな魅力があるという彼女の写真を自慢気に見せたり,「でも生意気なんだよー」なんて言うのが妙にかわいい。きっと2人はかわいいカップルなんだろうなと思う。「もちろん結婚するよ」「でも遊んでみたいでんしょ。わかるよ,ぼくも昔は男の子だったから」。ぞんざいで素っ気ない受け答が多いけど,ボーイズトークで通じ合える部分があると,カメラ越しに2人でニンマリ笑ったりできる。i know what you are thinking aboutだって。「いいよな日本の男は。たくさんエキゾチックな女の子が周囲にいて」「ちゃうちゃう,ぼくらから見たら日本の女の子がふつーやねんて。ぼくはまあ白人の女の子はごめんやけど」。

2002/01/21(Mon)

頭痛

昨日の午後からイヤに頭が痛いと思ったら,どうも風邪を引いたらしい。熱っぽい。

2002/01/22(Tue)

イブプロフェン

すごく効くというのでアメリカで買った鎮痛薬,抗炎症薬のイブプロフェン「Advil」を飲んでみた。ちっとも効いた気がしない。

2002/01/24(Thu)

猿と人間の違い

最近の朝ご飯はリンゴとバナナ。猿っぽい
Stanford,C.B. 2001. The Ape-Human Continuum and the Quest for Human Nature. Significant Others:BASIC BOOKS,
読了。サル学はおもしろいなあ。99%近くのDNAが同じというヒトとチンパンジーだけど,言語学者にしろ文化人類学者にしろ,サルと人間の間には越えがたい,なにか本質的な違いが存在するというのが常識。言語こそ,人間を人間たらしめる,文化は人間に固有だ,とか。
ホントはそうじゃない,ヒトとヒト科に属する霊長類の間には,埋めがたい溝があるわけじゃなくて,どこにも「これができるのがヒト,これがあるのがヒト社会」という線など引けないよ,というのがこの本を貫く主張。愛,死,食性,文化,言語,発達心理学など,実例を引きながら論じていく。子育て戦略,婚姻制度,グループ間抗争,子殺し,性的駆け引き,地域文化,知性,言語能力,どれをとってもハッとするほどチンバンジーやボノボはヒトと共通する何かを持っている。
1つだけ衝撃的だった指摘を。チンパンジーに限らず,ライオンなんかでも結構子殺し(infanticide)が観察される。自分のDNAを残すために,誰の子かわからない子や,様々な要因から不利になるような幼児を殺してしまうというのが合理的な繁殖戦略であることが多い。昔の日本で言えば間引きのようなことは,社会によっては今でもふつうにあることで,少なくとも子育てにおいて,すべての子を平等な扱いにしないというのは,ままあることらしい。アフリカのどこかの社会の例で,生まれつき病弱な子どもに対して,あまり世話も感情移入もしない母親の例が出ていた。その社会の中で当人たちは無意識でも,いずれ死ぬ可能性が高い子に,食事などの限られたリソースを配分するのは非合理的だという判断が背後にある。
ヒトの間では子殺しはまれ。やり口や数によっては新聞やテレビで派手に報道されるほど先進国では比率は低い。でも,それは実は違って,先進国には妊娠中絶というのがある。つまり堕胎というのは,いろんなケースがあるけど,子孫繁栄の戦略上不利になる出産,子育てを未然に防ぐという意味では,あれは形を変えたinfanticideにほからなん,と。あまり表に出てくる数字じゃないけど,たとえば日本の女性だと,4人に1人は少なくとも1度は中絶したことがあるという国勢調査のデータがあったりして。少子化が進んでいるというけど,実は子供を作ってないばかりじゃなくて,選択的に殺してるってことも大きい。
後半にはアフリカの熱帯雨林にフィールドワークに出かけるというのは,どういうことかという具体的な話が出てきて,なんか退屈だなあと思ったけど,実はそのそこにこそ,この筆者の言いたかったことがあるんじゃないか。大型類人猿は絶滅の危機に瀕していて,それは主に資本主義先進国と途上国の経済的関係なんかのさまざまな要因から,もうどうしようもなく進むものかもしれない,と。地球外知的生命とのコンタクトが人類にとって絶望的である以上,人間にとって,彼らが教えてくれること,彼らの存在の意味,彼らのことを今の間に知ることは非常に重要なのじゃないか。彼らの存在がなかったら,発掘される化石を見て,「これが自分たちの祖先だ」などと人間は考えただろうか,どうやって歩いたかなんて想像できただろうか,という。ちょうど月という身近でリアルに観察できる存在がなかったら,天体の運行なんかについて,人類はこれだけ早く思いを馳せただろうかというのと同じように。
この宇宙の中で自分たちはいったい何者だろうかと人類が自問するとき,何百万年か前に生物学的に枝分かれしたチンパンジーやボノボといった「隣人」たちを観察することは,非常に重要な意義を持ってるんだろう。彼らは人類にとって「かけがえのない人」。

2002/01/26(Sat)

初の通訳経験

マイクが携帯電話を買うというので,新宿のビックカメラへ。敬語や持って回った表現を使う店員の話す日本語は,やっぱりマイクにはむずかしいらしく,一緒に説明を受けていても「ケン,どういうこと?」と顔をしかめることがある。マイクのほうを振り向くと思わず英語でと思いつつ,いやそれより平易な日本語で,と通訳。「堅い日本語→平易な日本語(フォーリナーズトークと呼ぶらしい)」という通訳。反対に「この,activateはどうなりますか?」とマイクが外来語部分を英語っぽく言うと,今度は店員が「はっ?」というので,そういう微妙なのは「英語→ふつうの日本語」という通訳。
喫茶店で初期設定。漢字が読めないマイクのために,マニュアルを解説しながら,ワンステップずつ。平易な日本語と若干の英語混じりで。それにしても設定項目が多すぎ。機能が複雑すぎ。「累積通話時間の目安表示」「累積通話時間の計算比率」とか,なんか似たような機能が異様に細分化されてて解説を読まないと何のことやら理解できない。こんな凝った機能ってみんな使ってんだろうか? What's this for? Oh, you don't have to give a shit, let's go on to the next one!
夜,出社。打ち合わせに遅刻してもた。あちゃー。

2002/01/27(Sun)

風邪良くならず

雨上がりのさわやかな快晴。仕事が詰まってて気分はシンナリ。風邪が良くならない。仕事。夜,渋谷でSさん,Sさんの友人とパスタ。

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