タイトルと装丁と著者名に引かれて1年以上前に購入した本。寝床で読みはじめたのは昨日。ジョルジュ・バタイユ,『青空』(天沢退二郎訳),
読了。「ぼくは踏みにじられたぼろ屑だった。不幸を自分の身に引き寄せ,死にかかっていた……。スペイン戦争前夜。真っ黒な予兆をはらんだ青空の下で,破滅に瀕したひとりの男。彼をうちのめした苦悶とはなんだったのか。嫌悪と倦怠と恍惚と――。「黒いイロニー」をもとめつづける孤独な魂の彷徨を,息づまるばかりの切実さで描く。著者自信によって発表まで20年間遺棄されていた,思想的作家バタイユの危険と魅惑にみちた傑作」。
うーん,黒いイロニーって何だろう。久しぶりに読んだ小説,純ブンガクなのに,なんか,それほど感じるところがない。暗い時代精神に呼応する混乱とか,精神的地盤の脆さ,思想的危うさとか,決してやって来ない革命を前にした徹底した自嘲とシニシズム,そういうものがないまぜになった意識の混濁。放蕩と感能に身を委ねる生活とか,ハイ,それで? って。「危険な作家バタイユの恐るべき魅惑」ねぇ。1935年ごろのヨーロッパ人にとっての危険って,この程度のものだったのかしら。
ずっとむかし,フランス文学にかぶれそうになったぼくとしては,バタイユって読んでみたい,もっとも気になる作家の1人ではあったけど,なんか期待外れ。そもそも,読むのが疲れる日本語だった。これ,絶対に翻訳文体だと思う。これは日本語じゃない。『眼球譚』を読んでみたい。