2001/01/05(Fri)
サンフランシスコが好きになる,こんな瞬間
カウントダウンでは派手に花火を上げるものの,アメリカにはゆく年を惜しんだり新年を祝ったりという「正月」という季節感がない。みんな12月は30日か31日まで働いて,1月2日からもう仕事を始めることが多いらしい。
学校もすでに始まっているのだけど,ぼくはまだお休み中。やっぱり日本人なので,1月のしょっぱなにノンビリしないのはバチアタリに思えてしまう。どうも,他の日本人留学生も,1月8日から活動開始というパターンが多いみたい。
「うん,今日もいい天気」という言葉が意味がないくらい雨が降らない。傘が必要な雨は,この2カ月で2回くらいしかなかった気がする。どこが雨期なんだ……。しかも,このところのカリフォルニアは平年を上回る気温らしく,とても爽やかで気持ちの良い天気が続いている。
新しく引っ越して来た寮は,ダウンタウンの中心からやや外れたところにあって,散歩したりするにはとても便利な位置。で,今日もふらりと散歩。カフェでのんびり雑誌を読んだり。
サンフランシスコ市内のバス,路面電車,地下鉄,高速鉄道と,ほとんどすべての公共交通機関に通用する「ファスト・パス」という,月に$35のオトクな定期があって,これはケーブルカーもOK。というわけで,最近,ブラブラしてるときにケーブルカーが通りかかったら,すかさず乗り込むのが癖になってきた。これが気持ちいいんだ。ステップにぶら下がると,オープンカーやバイクと同じで,風がさわやか。
ケーブルカーは,通勤通学の足として使うには,ちょっと遅い乗物。毎度,毎度,坂の途中の交差点で止まって,客が乗り降りするのを待つし,トップスピードも下りでせいぜい40キロでてるかなというぐらい。それに,市内を走るケーブルカーは,路線が3本しかないので,これは実用的な乗物というより観光客向けの乗物。なんといっても国の記念物に指定されてるくらいだし。
とはいえ,地元の人も気軽に乗る。「たまたま俺が行く方向に向かってるから,数ブロック運んでもらうか。坂を登るのもタルいし」というぐらいの感じ。さすがに歩くのよりはずっと速いし,サンフランシスコには急な坂が多いので,ケーブルカーは楽チン。地元の人はヒョイと乗って,ヒョイと降りる。乗って来る場所,乗り込み方,ステップでの立ち方,降り方,降りる場所,降りてから歩きだすまでの時間,降りてからのよそ見具合を見れば,地元の人か観光客かはだいたい分かる。
反対方向へ向かうケーブルカーとすれ違うときには,ステップに立っている乗客は,お互いにスレスレ。というより,身体やかばんを内側に寄せないと,ぶつかる距離。そういうとき,観光客は「ヒュー」とか奇声をあげたりする。日本のように過保護な国から,自己責任型社会のアメリカに来た日本人にとっては,「こんなんで良く事故が起こらないな」と恐ろしくなるほど危なっかしい。実際,道路の中央に連続して立っている細いゴム製のポールに,ぼくは足をぶつけたこともある。ずががががって。
それで今日の話。
ぼくが乗っていたケーブルカーが,ゆっくりと坂を登り切り,視界が開けたときのこと。坂のてっぺんあたりに左折待ち(日本で言う右折待ち)している車が1台いた。その車は,ちょっと中央に寄りすぎてるように見えた。下手したらケーブルカーと接触するんじゃないかと思って,徐々に距離をつめるにしたがって,ステップに立っていたぼくは,ぐっと身体をちぢこめる。すれ違いざま,車とケーブルカーの距離が20〜30cmぐらいしかないことにヒヤヒヤしながら運転席をのぞきこむと,やや不安そうな顔をしたアジア人が座ってた。観光客かなぁ……。そんなことを思いながらケーブルカーが完全に車をやり過ごすのを見届けようと後ろを見たら,後部ステップに立っていた30歳くらいの男が,今まさに車に足をぶつけそうになっているところだった。
今にも足が車にぶつかりそうなその彼は,車の存在に気づいてないわけじゃなくて,むしろ視線を落して,じっと近付く車体を見つめている。一体なんのつもりだ,あぶないぞと思った,まさにその瞬間。なんと彼は,つま先で車のミラーをチョーンと蹴ったのだ。いや蹴ったというより,ミラーが来る位置に足を持って行ったという感じ。ぱたん。ごく自然な音をたててミラーが倒れる。
なんてことするんだと思う一方で,その器用さに感心して,思わずぼくの顔には笑みがこぼれていたらしい。彼は,ぼくに笑いかけながら,うなずいた。「これがシスコのルールさ」。彼がぼくのことを観光客だと思っていたなら,彼のうなずきはそういう意味だったのだろう。でも,もし彼がぼくのことを地元っ子と見ていたとしたら(くどいですが,アジア系アメリカ人は大量にいます),そのうなずきは別の意味だったはず。たぶん,こんなの。「久しぶりにやってやったよ。まあまあだったろ?」。
下り坂にさしかかると,1本目の通りで,ぼくはヒョイと飛び降りた。小走りに歩道にかけあがってケーブルカーを振り返ると,いつのまにかミラーを蹴った彼の姿は消えていた。夕映えに輝く坂道を,ケーブルカーがゆっくりとくだっていく。高みから見下ろすサンフランシスコの街は美しい。いつの日か,この光景を懐かしく思い出すのだろう。そんな瞬間,サンフランシスコが他人の街に思えなくなってる自分に気づく。
2001/01/06(Sat)
BSDの生まれた場所
午前中,ホテルのロビーでぼんやりコーヒーを飲んでいたら,今日ついたばかりだというブラジル人に声をかけられた。ほどなく2人とも物理学科出身というのが判明。どこかサンフランシスコでオススメの場所はないかというので,じゃあ一緒にバークレーあたりに遊びに行こうという話に。観光客が決して行かないような場所も含めて,ほとんどサンフランシスコは歩きつくしたけど,やや郊外にあるバークレーだけは,まだ行ってなかったのだ。
いやしくもコンピュータ野郎なら,BSD系Unixが生まれ育った場所,University of California, Berkeleyを知らないってことはない。UCBはコンピュータサイエンスのメッカ。というわけで,ぼくは初めからかなりミーハーな気分で訪れたのだけど,想像してた以上にバークレーは良かった。街の雰囲気も大学の雰囲気も。
大学のキャンパスはやたらときれいで広いし,自然がいっぱい。リスがたくさんいて,全然人を恐がらずに近付いて来るのには驚いた。仕草がとてもキュート。土曜日だし,まだ休暇中の学生が多いようで,ほとんど人がいなかったけど,いくつかの校舎に入って,教室や実験室をのぞくと,とても懐かしい匂いがした。廊下にはたくさんの張り紙があって,講義のシラバスやら,教授陣のランキング(学生の評価が集計されて全部公開されてる!)が張り出されている。最近科学誌に取り上げられた論文,求人情報,部屋探し情報,サークルみたいなのの誘いなんかもある。
ふと見ると,とある研究室の前にレポート箱が置いてある。ぼくらが入った校舎は当然(?),物理学科の棟なので,提出されたばかりらしいレポートをパラパラ見ると,見覚えがあるような気がしなくもない数式が並んでいた。むー,懐かしい感じ。一緒にいたブラジル人のガブリエルは物理学者になるつもりらしいので,ちゃんと内容がわかってたみたいだけど,大学でほとんど勉強しなかったぼくには,それが波動方程式らしいということ意外は良く分からなかったんだけど。
バークレーはサンフランシスコから電車で30分ほど離れた郊外にある学生街で,街全体が大学を中心に構成されてる感じ。街を歩いているのはほとんど若者で,みんな顔がイキイキとしてる。独特の雰囲気。学生街らしく,カフェや本屋,CDショップがたくさん。
それにしても,ブラジル人というのは,ホントにフレンドリーというかオープン。あまりに気軽に人に話しかけるのに驚いた。ちょっとうらやましい。そういえばフランス人を含めて,ラテン系の人たちは,かなり気軽にホッペにキスをするので,そういうのも,ぼくは戸惑いがち。アメリカ人でさえ,ハグはするけど,あまりキスはしないから。だから,ぼくは明らかにハグのタイミングだなと悟っても,つい軽く肩を叩いたりハンドシェークしたりでごまかしてしまったりする。かなり,ぎこちなく。あらかじめ日本人が感じる違和感を説明してしまったから,向こうは向こうでどうしたものか困った顔をしたりして。でも,たとえばスペインから来てる女の子に,いきなり初対面でチューされたりするのは,悪くない。むはっ。
2001/01/07(Sun)
語り入ってます
土曜日は寮のみんなで飲みに出て,寮に戻ってからも,飲み直し。なぜか寮には学校の先生も来てて,朝5時過ぎまで飲んだり話したり。やや怪しいケムリに包まれながら……。まるで学生のように,夜更けには哲学を語ったり。語りたい言葉の多さほど,英語では多くを語れないのがつらいところ。なんとか西洋人のブッディズムに対する誤解くらいは解きたいものだけど。
昨日来たばかりのブラジル人,ガブリエルが「この一日二日で,だいぶ英語で考えるようになってきた」と言って,ほんとにペラペラとしゃべりやがる。そんな彼は2年前まで英語は一切知らなかったというんだから,もう日本人にとっては「ずるい」のヒコトコしかない。英語が世界の標準語になってしまったのは,日本人にとって非常に不幸なことじゃないかと,つくづく思う。日本の文化や言語を誇りに思うけど,ラテン系言語の国に生まれていれば大した苦労もなかったんだろうなぁと思う。
にしても,ラテン系の先生,ティコがスペイン語のほかにフランス語もドイツ語も,あまりにペラペラなので,びっくり。イタリア語もかなりイケるらしい。ほとんどラテン系言語なので,驚くほど特別なことではないんだろうけど,いろんな国の学生に対していとも簡単に言葉をスイッチするのを見てると,かなり感動的。ティコは英語の教え方がうまいなーと思ってたけど,それはたぶん彼がマルチリンガルだからなんだろう。英語しか話せない先生は,単語の意味を尋ねても,英英辞典にあるような明解で本質的な定義じゃなくて,ほかの単語で言い替えたり用法を教えてくれるだけだったりするけど,ティコは,単語の意味や英語の発想の本質を,短い言葉でずばり即答してくれる。
2001/01/09(Tue)
やばいよ,ジュリアン
楽しすぎる。寮に来て,何もかも良くなった気がする。部屋にはテレビも電話もあるし,学校は近いし,メシはうまいし,友達もたくさん,そして周囲はダウンタウン。過去2カ月でしゃべった英語と同じ分量を,この1週間で話した気がするほど,いきなり環境が変わった。一体,あのホームステイは何だったんだと思ってしまう。もっと早く寮に移ってれば良かった。この1週間で,すごく英語を話すのが気楽になった。もちろん上を見ればすごい奴はたくさんいるのだけど,並のヨーロッパ系のクラスメートには,それほど負けている気がしない。
夜は,かつてクラスーメトだったフランス人のジョゼと,新しくクラスメートになった韓国人のシンディーが誕生日だからというので,みんなでバーへ。総勢25人くらいの大所帯。寮からほど近い,なじみのバーは半ば貸切り状態。
2人とも21歳になったばかり。いいね,若いって。シンディーはなかなか可愛くて,韓国人にしてはかなり英語がうまいので,ちょっと頭が良さげな雰囲気もある。ジョゼが見る見るメロメロになってゆく姿がほほえましい。ジョゼはわざとフランス語を交えて,くどき始めたり。応援するぞ,ジョゼ! いけるよ,うんうん。
久々,ビリヤード。最近アメリカに来たばかりのジュリアンと。実はぼくはエイトボールのルールがあんまり分かってなかったのだけど,フランス人のジュリアンは,英語でルールを説明できるほど,まだあまり英語がしゃべれない。面倒くさいので,ジュリアンが指示するとおりに適当にポケットゲームを遊んでいたのだけど,どうやら店の常連らが,イラついていたらしい。アメリカのバーでのビリヤードは,ボードに名前を書いて,知らない人なんかとも順に勝ち抜きゲームをするパブリックなものなので,違うルールのゲームをやっていると,「こいつら何だ」ということになる。
「もうお前,勝ってんじゃん。何でまだやってんの? リストを見なよ。たくさん次が待ってんだぜ」と,イラついた客の1人がぼくに声をかける。「いや,ルールを良く分かってなくて,待たせてすみません」。状況からすると,すでにぼくが勝っていたらしいのだけど,ジュリアンの頭の中にはフランスのルールしかないから,当然理解できない。悪いのはルールを知らない自分たちだと,ぼくは素直に認める気になったのだけど,ジュリアンは違った。「もう終わったんだよ,ジュリアン。わかる? お・わ・り。行こう」と言っても,ジュリアンは納得しない。
すぐにトラブルの匂い。「フランスでは……」と言う,たどたどしいジュリアンのフランスなまりの英語に,いよいよイラついた常連の1人がジュリアンに近付く。アルコールの入った場で何が起こりがちかは良く分かってるから,ぼくは「行こうぜ」とジュリアンを引っ張っる。ますますジュリアンは納得しない。
ジュリアンが,まだ終わってないんだという意味のことを言いながら,その常連の腕をつかむ。明らかにその常連はイラついた顔している。嫌な雰囲気。低い声で「さわんなよ。そのくそ汚ねぇ手,離せって」と言うのがぼくにはわかったけど,ジュリアンにはちっとも通じていない。やばい。やばいよ,ジュリアン。素直に引っ込めよ。
ジュリアンは不当に邪魔された気がしたのだろうけど,現地のルールを尊重しないのは,やっぱりまずい。ある種,フランス人の典型。フランスでは初対面の人間を見下すような態度は絶対に取らないもんだ! と,ジェスチャーでぼくに同意を求める。わかった,わかったよ,ジュリアン。で,日本人の典型として,ぼくはその他の常連に素直に謝る。幸い,最初に声をかけてきた常連の1人と違って,ほかの常連連中はナイスガイで,みんな丁寧にルールを教えてくれて,ゲームに誘ってくれた。
「なんか起こるんじゃないかと思った」。心配そうに見ていた韓国人の女の子がそんなことを言う。「ぼくの経験では,酒場系にいてヤバイと思っても,実際にヤバイ状況になったのは10回に1回もないよ」と,そう言いたかったけど,言葉の途中で文法が破綻したのがわかって挫折。はぁ。
11時半ごろ寮に戻って,ロビーでビールを飲み直し。「シンディー,か・な・り,気に入ったよ」と,ジョゼがため息つきながら,やがてソファでスヤスヤと眠りやがった。うい奴よ。
2001/01/11(Thu)
L.A.ツアー
週末は3連休。月曜日はマーチンルーサーキングの記念日で,ナショナルホリデー。学校は休み。というわけで,寮の友達たちと,ミニバンを借りてロサンゼルスに行くことに。合計7人のちょっとしたツアー。ぼくが唯一のアジア人で,一番年上。
火曜日の宿題,先にやっとかないと。
台湾で「我是東芝[口馬]?」。うぉーすぅーとーしば,まぁ? といえば,「ぼくって,東芝?」という意味。直訳だと。でも,これには特別な意味が。東芝というの台湾でもかなり有名な電気メーカーで,どうやら「東芝」という言葉は,台湾の人たちに電球とかテーブルライトを連想させるらしい。
恋人同士がエッチをするときには暗いところに行くことが多いわけだけど,「ぼくって,東芝?」というのは,つまり「ぼくってお邪魔?」ということ。もし,そうなら,「にぃーすぅー(you are)」と答えるらしい。
今度,台湾人が彼女といるのを見たら,是非話しかけてビックリさせてみよう。
2001/01/15(Mon)
ふくゆー
サンタバーバラ1泊,LA1泊,ミドルオブノーウェア1泊。サンタバーバラは愛すべき小さな街。サンタモニカのビーチはビューテホー。LAのチャイニーズシアターは20年前に来た記憶が甦る。あのときぼくの手の平は,今の半分のサイズだった。ハーストキャッスルはクレイジー。
スペイン語で,fuck youというのは,「ふくゆーっ」という(文字通り発音せよ)。これをフランスなまりで女の子が発音すると,なかなか可愛い。LA小旅行,なかなか楽しかったけど,疲れた。ブラジル人の陽気さと時間のルーズさには,驚くべきものがある。って,単に個人的な問題だと思うけど。
宗教の話しはアンタッチャブルだと思ってたけど,意外に若い子らは平気でキリスト教の欠点を話すのね。ゴッドも信じてないってさ。フランス人もスイス人も,アルゼンチン人も。彼らの間でホントにアンタッチャブルな話題はサッカー。ミニバンに乗ってた7人のうち半分以上がスペイン語を理解できて,半分以上がフランス語を理解できる状況だったので,サッカーの話題になると,ぼくだけが取り残される。
「パルレッラングレーッ!(英語で話しやがれ)」というフランス語と,「テンゴムーチャハングレ(すげー腹減ったよ)」というスペイン語は,もう忘れないと思う。耳に聞こえて来る通りにあれこれ繰り返したら,「お前のスペイン語の発音はパーフェクトだ」と言われた。日本人にはスペイン語の発音は簡単だというのはホントらしい。
2001/01/16(Tue)
完了不定詞?
文法のクラス。Perfect Infinitiveって,日本語では,なんていうんだっけ。「to have + (past perfect tense)」みたいな奴。I would like to have studied more when I was in the university. = I would have liked to study ...。大学のときにもっと勉強してりゃーよかった。I'm too old not to have known better.。ぼくは分別のつかない歳じゃない。
文法,もう1度,ゼロから復習しないとダメだなぁって痛感する日々。ただ,このところ,ごく基本的な英文法が,今までとは違う感じで理解しはじめてる気がする。
Perfect Infinitiveの否定形は,「not to have + p.p.」か「to have not p.p.」。notを前に持って来るほうがformalだから,ぼくが使うべきなのは,not to have + p.p.。それにしても,否定形の進行形受身だと,「not to have been being +p.p.」とかになる。これはネイティブにもclumsyに響くらしいけど,ノンネイティブには,直観では何を言ってるのかほとんど理解不能。
「君らの母語では,not を前に持って来る? それとも後ろ? 語順はどんな感じ?」と先生が聞く。冗談じゃないぜ,どうやって英語と日本語を比較できるってんだ,くそ。不定詞なんて,日本語にはないって。
2001/01/17(Wed)
ギブアップ
キューピーちゃんみたいに可愛いデイビッドという男の子がドイツから戻って来た。なよなよと身体をくねらせながら(彼がゲイだというのはホントらしい),すごく早口にしゃべる彼の英語を最初に聞いたときには,ほとんどネイティブじゃんかと思ってビビッたものだけど,久しぶりに彼の英語を聞いたら,意外にシンプルな構文しか使っていないことを発見。しかし,それにしても,ぼくの日本語より早口じゃないかと思うのは一体どういうことか。
全体に少しずつマシになってきてると思ってた英語力だけど,やっぱりスピーキングでは,ヨーロッパ系の子らにはかなわない。スピードでもボリュームでも。
「アメリカの保険制度の問題点を解決するのに,どんな方法があるのか議論せよ」。アメリカに住んでいたこともある帰国子女のスウェーデン娘のリサとデイビッドの早口な議論に挟まれて,ぼくはほとんど何も言えない。
「ケンは良くやってると思うよ,スピーキングでも文法の間違いはそれほどないと思うし」。という担当の先生の言葉に勇気づけられはしたけど,やっぱりギブアップ。文法のクラス以外は,レベルを1つ落してもらうことにした。「下のクラスに行ったら,きっとレベルが低くて退屈すると思うよ」とは言われたけど,滅茶苦茶話せる生徒に混じってモゴモゴ言ってるのって,気分的に辛いものがある。「Fluency」というクラスにいるはずなのに,fluentじゃないっていうのは,情けない気分。クラスのみんなは「大丈夫だよ」と言ってはくれるけど,今のままじゃあ,気が滅入るだけ。
「素直に話しなさいよ,クラス,どうなの?」と校長に言われて,なんか泣きたくなった。英語を話しているときは,ホントに自分が馬鹿じゃないかと思えて来る。気分が滅入ると,ますます何も言えなくなる。ただ首を振って,教科書英語で「下のクラスに戻してほしいんです」とだけしか言えない自分が情けない。
もう何度言ったかわからないし,できれば言いたくはないけど,「ふつーの日本人には英語は無理」だと思う。これはもう,どうにもしょうがない。
「ぼくの英語はダメだ,むしろ以前より悪くなってる」「いや少しずつは良くなっては来ている」という2つの間を行ったり来たりしているわけです。
2001/01/19(Fri)
アメリカンサイズ?
久しぶりに体重計に乗ったら,なんと125ポンド(=56.7kg)しかない。渡米前に比べて2kgぐらい減ってる。半年前のダイエット直前と比べると,8kg以上減ったことになる。この体重って,成体になってから(って獣か昆虫みたいだけど)経験した最低レベルに近い。ちょっとやばい。
アメリカに来たらアメリカンサイズの食事で太るかと思ってたけど,逆だったとは。まあ,飲酒量が減ったのも大きいのかも。
ファーストフードでラージドリンクを頼むと,バケツみたいなのが出て来るし,昼食にピザを頼むと,直径30cmぐらいある丸いのがポンと出て来たりと,アメリカンサイズってのは確かに存在するのだけど,意外にカリフォルニアの食事の量は全体に控え目な気がする。これはメキシコ系,アジア系の比較的身体の小さな人種が多いことも関係してるのかも。
信じられないサイズのデブって,ニューヨークには大量にいた気がするけど,サンフランシスコにはほとんどいないし。
2001/01/21(Sun)
やっぱり彼はゲイだった
夕方,ずっと以前に図書館で知り合った,50歳過ぎの紳士と待ち合わせて,食事。タイ料理。最初に会ったときからそうじゃないかと思ったけど,やっぱり動揺は隠しきれなかった。彼はゲイだった。
「個人的なこと聞いてもいいですか」「もちろん」「えーと,結婚したことあるんですか?」「いや,あのね,ゲイって分かるかな」「あっ……,もちろんゲイってユニバーサルな単語でしょう」「そう,ぼくはゲイだから,結婚したことはないよ。驚いた?」「ちょっと……,でもサンフランシスコの人口の20%はゲイかレズビアンだって聞いてますから」「うん,あまりショックじゃなければいいんだけど」。
なんつーか。彼は英語の先生になろうとしていて,日本シンパ。だから,会話の練習相手としては,ぼくにとっては非常に理想的。でも,やっぱりぼくは性愛の対象として見られてたのかもと思うと,ちょっとサムケが。特別な想像はすまいとはするけど,歳がいもなく顔を赤らめる初老の紳士を見ていると,鳥肌の1つもたちますですよ。
変な話,初めて女の子の気持ちが分かった気がする。もうかなりいろいろな話をしたし,彼がそんなことをしないとは理解しているけど,もしかしたら2人きりのエレベータで迫られるかもしれないとか想像してしまう。うわぁぁぁ。自然に振る舞おうとはするけれど,やっぱり通りを歩くときには距離を取ってしまったり。
別の意味でも,女の子の気持ちが理解できたかも。もしぼくが望むなら,たぶん,彼はぼくと食事したり飲みに行ったりするのを喜ぶだろう。ぼくがそういう態度を取らない限り,彼はぼくに何かを求めたりは絶対しないはず。だから,やりようによっては,ぼくは彼の気持ちを利用することができるのかもしれない。このアンフェアーな取り引きに対する微妙な罪悪感と誘惑のいりまじった感情って,もしかすると多くの女の子が感じているところなのじゃないかしら。違う? 「男は性欲を所有し,女は性欲に所有される」と言った思想家は誰だっけ。性欲のベクトルが見慣れない方向を向いているのが奇妙な感じ。
やや歳の離れた,ただの友達でいられるならいいんだけど。でも,その彼が,もし20代の美貌の青年だったりしてたら,どうなってただろうなんていう想像もちょっぴり。うわわぁぁぁぁぁぁぁ。
2001/01/22(Mon)
抱(た)いてください
クラスメートの韓国人,シンディーが,舌ったらずの日本語で,あれこれ話しかけてくる。どこで覚えたのか,かなりいろいろなアイテムを繰り出して来る。ものによっては韓国人の日本語の発音は,ほとんどパーフェクトだし,見た目は日本人と変わらないので,何だか妙にリアルに響く。あまりにリアルなので,単に外国人が覚えたての片言アイテムをひけらかしてるような感じじゃなくて,本気でそれを言ってるんじゃないかと錯覚してしまう。
誰が教えたのか,シンディーは変な日本語をたくさん知っている。いきなり「変態おやじ!」と言われて思わずぼくはショックを受けてしまった。そうかと思えば「大好きっ☆ デートして」と言われて,ニヤニヤしてしまったり。きわめつけは「抱(た)いてください」。ニコニコしながら「抱いて」を繰り返すので,かなり面食らってしまった。周囲に日本人がたくさんいる食堂でのことだったので,思いきり照れてしまった。あー,いい歳して恥ずかしいこっちゃ。しかし,「抱く」って死語じゃないのでしょうかね,誰が教えたんだ。
「たとえ韓国語なまりなしに,完璧な発音で日本語が使えるとしても,ちょっとナマってるほうが日本人にはウケがいいと思うよ。君の日本語はすごくキュートだよ」とか言ってるぼくって,やっぱり「変態おやじ」なのか。
韓国人相手にしゃべってると,だいたいそうだけど,とくにシンディーが相手だと思わず日本語が出て来てしまうことがある。通じるはずもないのに。「日本語が通じないのが逆に不思議に思えるよ」なんて,日本語で言っても,シンディーはニコニコしながら顔に「?」を浮かべてる。
2001/01/23(Tue)
まあなんとか
文法のクラスで,いつも一番落ち着かなさそうにしているフランス人のマドモアゼル・デルフィンが,今日のリーディングでは大活躍。unencumbered,hordes,infestation,bide,albeit,infiniteimalなどなど,クラスのみんなが知らなかった単語を「フランス語と同じかどうか自信はないけど,同じ綴りの単語がフランス語にもあるから,たぶんこんな意味じゃないかしら」と全部説明してしまった。「今朝の授業ではデルフィンがボキャブラリ・クイーンね」と先生もびっくり。要するに,いかめしい文語調の文体で書かれた英語であればあるほど,フランス語と共通の単語が多く登場するってこと。で,ぼくにとってより驚きだったのは,準ネイティブレベルと思ってたデイビッドがenvyという単語を知らなかったことだったりするんだけど。もしかして,彼がゲイだからというのと関係あったりして。ゲイの人たちって,割と嫉妬と無縁の,乱婚的状況になりがちだっていうし。
その文法の授業中,スウェーデン娘のヘレナが小声で聞いて来る。「ケン……,エクソサイズ2のgって,意味がわからないんだけど,どんな文を作った?」。「いや,ぼくも分かんない。どう書けばいいかはわかるし意味もわかるけど,誰かがこんなのを口にするのを聞いても,ぼくは理解できると思わない」。「そうっ,私も」。「たぶん慣れるしかないんだよ」。その例文ってのは,受験時代にやった記憶もある,「No sooner had the car been mended than something else went wrong with it.」みたいなの。ぼくから見れば,ほとんどアメリカ人に見えるくらいきれいな発音でスラスラ話せるヘレナでも,わからない文はわからないらしい。もっとも,こんなbookishな英語をしゃべってる人ってニュースでさえ見たことがないから,聞き取ったときに意味がわかる程度に慣れればいいだけなのだろうけど。
デルフィンが,やっぱり小声でぼくに話しかける。「このページの下の問題,一緒にやらない? 全然わかんないのよ」。「前置詞は君のほうが得意だと思うよ。だって,フランス人じゃない(笑)」。「ノン,ノンッ(笑)」。結局,日仏協力の努力もむなしく,前置詞の問題は正当率が半分しかなかったんだけど。そして意外にも,デイビッドも,結構前置詞はボロボロ。「with doubt... on doubt... to doubt! あ,これで意味が通るけど,これじゃあ前置詞じゃなくて不定詞かぁ。えっ,in doubt? じゃあ,I'm in doubtとか言えるんですか? おーけー,おーけー」。
実は文法のクラスに限らず,みんな多かれ少なかれ「むっ,むずかしい」という不安を持って授業を受けているらしい。先週末,「ぼくはこのクラスの奴らには,とてもついていけん」と思ったけど,あれこれ話を聞いてみて,結構みんないいライバルなのじゃないかと思えて来た。気楽に構えて,少しスピードを落してみれば,ちゃんと意見も言える。
「このクラスでは,私の英語はひどい」という不安は,みんな抱えてる。ぼくの場合,それがスピーキングなわけだけど,たとえばリサはリサで,自分のライティングがいつも子供っぽいことを気にしているし,文法用語を全然知らなくて,文法の教科書を開いては目を丸くしてたりする(といっても,紙もペンもなしにスラスラと口から文法練習の答えが出て来るんだけど)。ヘレナは発言するセンテンスをなるべく短く短く済ませようとして,発言が長びくと,やや不安そうに顔を赤らめるのが常。デルフィンは単純なセンテンスしか話せないし,リーディングやリスニングでは良く,「げー,むずかしくて良くわかんなかった」と悲鳴をあげてる。シンディーは英文学を専攻してただけあって凝った言い回しを使うけど,韓国人らしく,たまに文法が完全に壊れる。フランス人のジュリエットは,発音がひどいのをとても気にしていて,ペラペラとしゃべる割に,しゃべってる途中で「通じたかしら」と不安そうな顔をするし,良く文法を間違えて言い直しをしている。デンマーク人のクリスチャンは,ジョークやチャチャが好きなわりに,言い始めたジョークの途中で「あうー」と止まってしまうことがあるのを気にしている。
つまり英語を話すのに問題がなければ,誰も語学学校になんて来ないわけだし,「Fluency」というクラスが,必ずしも生徒にFluentであることを要求しているわけがない。と,そんなこんなで少し開きなおって,結局クラスを1つ落してもらう話はなかったことにしてもらった。せっかく打ち解けた雰囲気のクラスから,わざわざ別のクラスに行くこともない。それに,今の学校で授業を受けるのは,今週いっぱいで終わりだし。
教室から出ようとしたら,後ろから先生のスーザンが声をかけてくる。「ケン,クラスを変えずに私のクラスに残ってくれたこと,うれしく思ってるわよ。あなたは今日のクラスでも良く意見を言って貢献してくれたし,いい生徒よ」。ぼくは褒められて伸びるタイプだと自分で知ってるから,もっと褒めてほしかったりして。
2001/01/27(Sat)
for a while crocodile??
おととい道を訪ねられたことから少ししゃべってメールアドレスを交換したジェニファーという女の子から,昨日メールが届いてた。土曜日,友達に会いにサンノゼからSFのダウンタウンに行くからケータイに電話してみてね,一緒にご飯食べようよ,だって(ヒュー♪)。もちろん電話しましたよ,えぇえぇ。
で,そのメールにはスラングがいっぱいで,中にはまったく意味不明のものも。日本語の「ケータイ」に相当するのか,cell(ular) phoneは,cellieというらしい。知らんかった。響きはなんか女の子用語っぽいな。「I'm beat」。3秒考えて,そういえば「クタクタ」という意味だったかと思い出す。なんでbeatenじゃなくて,beatなのかは深く考えてはいけないらしい。次に「I dig your business card」。これは学校で教わった。dig(掘る)は,「好む」という意味で,ストレートにlikeというより,coolな響きがあるらしい。次に「tom」。友達の名前がtomなのかと思ったけど,文中,明らかに意味をなさない位置に,この単語は置かれていた。5秒考えて,やっとtomorrowの略だって気づいた。
本人に会って聞くまで,まったく意味がわからなかったのが,「for a while crocodile」。な,なんですと?? まったく脈絡もなく,なぜアリゲータが文章に登場するんだと思って,辞書を引いてみても,やっぱりクロコダイルはクロコダイル。きっと,これはスラングで,何か別の意味があるに違いないとは推測できても,さっぱり見当もつかない。
「読書ヒャッペン,意,自ずから通ず」というけど,確かに100回繰り返して「for a while crocodile」を口にしてたら,気づいたかもしれない。このクロコダイル,特に意味はなくて,whileのileと韻を踏んでて「響きがいいから」使われる単語らしい。なるほど。でも,なんかイマイチさえないなぁって気がするんだけど。なんか「さよなら三角,また来て四角」みたいな。って古い?(このcrocodileという表現,後で学校の先生に聞いてみたら「60年代に流行した言い回しで,今でも特に子供は良く使うし,たまにテレビでも流れてくることもあるよ」とか)。
考えてみたら,アメリカに来てから,語学学校の先生やスタッフの話す比較的プロパーと思しき英語と,テレビから聞こえてくる英語を聞くのが中心の生活だったので(+街のレストラン,ファストフードなどのナマった英語),つまり,ぼくはフツーのアメリカ人同士が会話するときに使う口語英語に免疫がなかったらしい。
ジェニファーと,その友達という男の子はボストン出身で,高校生のころからの古い友達。早口で話されると,一生懸命耳を傾けても2割くらいは意味不明の音。日本語でも,とくにつき合いの長い友達同士の会話だと,ほとんど消えゆくような語尾の音とか,だらしなくつながった発音,着崩した文法,あまりテレビ電波に乗らないような単語とか言い回し,遊び言葉を使うのってフツーだもんね。どうでもいい会話だとボソボソッと言って「ぁん?」とか聞き返されても「や,別に」とか,そういうやりとりも多いし。
それにしても情けなかったのは,「ギネスって好き?」という中学1年生レベルの英語を,2回聞き返さないとわからなかったこと。文脈から意味はほぼ明らかだったけど,「ッッギェス?」にしか聞こえない。あるいはこんなのも。「あたしは完璧,考え方はリベラルよ」のリベラルが「リッブル」にしか聞こえなくて,「コンサーバティブの反対よ」と言われるまで,「libbleって何だ?」と頭をひねったり。liberalは,「リブルーゥ」か「リブルル」みたく響くものだと思ってた。まあ,これはカタカナ英語の悪影響か。
英語力を伸ばすのに,ネイティブとの接触が必ずしも近道じゃないという意見は変わらないけど,ごくごく普通のネイティブが話す普通の会話についていけなくて,一体なんの英語力なんだというギモンが。最近,聞くほうは少し良くなったかと思ってたけど,全然甘かったらしい。
「送ってくわよ」「えっ,まさか。ここから歩いて1分だよ」「そこで降ろしてあげるから乗りなさいよ」。庭先にある新聞受けに新聞を取りに行くのに車を使うというジョークがあるくらい,アメリカ人は単距離でも車に乗るというけど,これはそういうアメリカ人的な発想だったのか。それとも,サンノゼのウチまで来てもいいのよという誘いだったのかしら。なんたって「リベラルで何事にもオープン」と強調してたぐらいだしなぁ。うーむ,口語会話のプライベートレッスンでも,申し込んでみるか。
2001/01/30(Tue)
5年かかったそうで……
DVDプレイヤーの支払いを銀行口座から送金するから振り込み先を知らせろといってメールを送ったオンラインショップから,まったく返事が来ない。というわけで,もう我慢ならなくなって,DVDプレイヤーを買いに,ソニー本丸のMETREONへ(って,ソニプラみたいなとこ)。このさいWebショップより$100や$200高くても買ってしまえと覚悟を決めてたのに。ところが,$1200だったはずのプレイヤーが$1499に。Web上で$1000強で買える(はず……)ことを考えると,$500も高い。円安だから,これは6万の違い!! つまり12万円で買えるものを18万円で買うかって話。語学学校に20万円払うより,よっぽど価値があるとは思っても,さすがに,この差額じゃ鼻血がとまらん。
「1カ月前に来たときには$1200だと聞いたんですけど」「誰がそう言いましたか? その従業員の外見を覚えてますか?」「えーと,長い黒髪で,肌が浅黒くて,ぼくと同じくらいの背で,アジア系のすらっとした女性です。美人でした」「うーん,思い当たりませんが」「日本人ぽくも見えたんですけど」「いや,アジア系の従業員はみんな背が低いですから……」「あー,ソニーから来たデモンストレータだったかもしれません」「なるほど,ともかく値段を調べましたがやっぱり私どものコンピュータのデータベースでは$1499です。たぶん値段を変えたのかもしれません」「ディスカウントはないんですよね?」「ええ」「絶対に?」「すみませんが」。
図書館通いをスタート。辞典みたいに分厚い文法書を買って,読み始める。昔の記憶が甦る。やっぱりちゃんと文法の裏付けがあると,安心。耳や目から入るインプットをもとに,帰納的に文法を体感して覚えて行くというのも大事かもしれないけど,一気にレビューできるという意味では文法書は手っ取り早い。1週間もあれば,全部復習できるかしら。
昨日,会ったH氏は,10年以上前にアメリカに移住してきたときには,すでに「英語は得意だと思ってた」という。それでも,英語で話すのが本当にカンファタブルに感じるようになるまで5年くらいはかかったとか。
「日本に帰るとわかってるんなら,完璧に日本語を忘れるつもりで生活するぐらいでいいんじゃない? ネイティブなんだから,日本語は帰れば3日で思い出すよ」というアドバイス。「5年それをやるとホントに日本語が思い出せなくなるけどね。ああ,英語だとこう言うのに日本語だとなんて言うんだっけ,とかね」。
2001/01/31(Wed)
マネーオーダーってなんぢゃらほい?
昨日に続いて,DVDプレイヤー買う買う作戦続行。ホントは3日前にも,レジデンスから歩いて行けるCIRCUIT CITYという電気機器量販店に行ったり,パロアルトのGood guysという郊外型量販店に行ったりもしたんで,3日連続の格闘だ。パロアルトのGood guysには狙ってたSONYのDVP-FX1は確かにあったけど,やっぱり$1499だったのだ。なんとか$1100以下で手に入れねば(ちなみに日本では$850程度買えるみたい……。リージョンコードの問題で,それを買ってもアメリカのDVDは見られないんだけど)。
で,再びオンラインショッピングに挑戦。これで3件目。今度はちょっと地理的に離れたNYを本拠とする「Y3K Technologies」というEショップ。なんとこの店で買うと,NY在住者以外は税金がかからないらしい。カリフォルニアだと税金は8%くらいだから,実は1万円ぐらい違って来る。ラッキー。$1080+送料なり。
もうインターナショナルクレジットカードがダメなことはわかってたので,今回は「マネーオーダー」という支払方法をメニューから選ぶ。マネーオーダーってのが何モノか知らなくて,てっきりオンラインで支払えるものだと思ったら,どうも違うらしい。面倒なので,店の担当者にメールで「どうやったら,そのマネーオーダーってのは使えるんすか?」と尋ねる。即返事が来て「銀行か郵便局でどうぞ」と書かれてあった。オーケーオーケー。
ところが,銀行に行ったらマネーオーダーは受け付けてないと言われる。「郵便局なら受け付けてると思いますよ」という言葉にしたがって郵便局に行くと,今度はマネーオーダーにクレジットカードは使えないと言われる。銀行のATMカードがデビッドカードとして使えるかもしれないと言われたけど,これもダメ。仕方がないので,またまた銀行へ。お金をおろそうと思ったら,今度はIDが必要と言われた。ていうか,そういえばIDがすべてだったのね,この国は。がくっ。
いったんパスポートを取りにレジデンスに戻って再び銀行へ。現金をおろす。必要金額の数字は,アラビア数字のほかに,フルスペルで金額を書かなきゃいけないのを知らなかった。「one thousand one hundred fifty dollars only」。現金を封筒に入れて,再び郵便局へ。「あのー,マネーオーダーをお願いします」。1通$700までが限度らしく,ぼくの冊束は2枚の紙切れに化けた。「これって,処理されるのにどのくらいかかるんですか? つまり,その向こうの店に届くのに……」。「いや,送って,向こうに届けば終わりですよ」。「どのくらいで着くんですか?」。「は? それは郵送方法によって……」。
ぼくは間抜けなことに,電算処理でお金が先方に送られるのがマネーオーダーだと思ってた。そうじゃなくて,マネーオーダーって単に「チェック」,小切手なのね。だから,その紙キレを封筒に入れて先方の住所に送ると。受け取った先方は,それを換金する。
そのマネーオーダーの紙切れの半分は領収書兼,保証書になっていて,万が一どこかで金が先方に届かなかったら,リファンドしてくれるという。でもなんか不安。10万円もの金をただの封筒に入れて送れってのか。現金書留みたいなモンはないのか?
近くにいた郵便局のおばさんに,どうやって送るのがいいのか尋ねたら,意外にも即答じゃなくて,そばの局員と相談したりする。「もともとマネーオーダーは元金が保証されてるから,特別な方法はいらないけど,私ならCertified mailにするわね」とか。いくらかオプションで高くて確実な郵送方法もあったけど,あまり何重に保険をかけてもしかたないので,おばさんのススメにしたがって,郵便物のトラッキングができというCertified Mailにする。そのおばさんは「封筒は持ってる? えっ,ないの? 紙は? 一筆書いて同封したほうがいいわよ」と言いながら,封筒と紙をタダでくれた。アメリカも捨てたもんじゃないな。
というわけで,ようやく送金終了。うまくすれば,今週にもブツは届くはず。ああ,楽しみ楽しみ。
NISHIMURA Ken <nis@bigfoot.com>