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2007年12月28日
25年前のジャグリング(その3)
25年前の時点で独自に5ボールカスケードを思いついて習得した人の話を書きましたが、すえきちさんから「事実と異なる可能性があるのでは」とツッコミをいただきました。
本人は「正直にいって、自分で5ボールのパターンを想像したよ」と言ってますが、本当に5ボールカスケードを見たことがなかったどうかは分かりません。本人にしか分からないというか、本人すら分からない可能性もあります。例えば、ぼくはきっと1996年ごろに横浜で5ボールカスケードを見たことがあったはずですが、記憶にはありません。ただ、大道芸ではよくジャグリングを見たし、確かにナンバーズ系を最後にやった人がいたなという感触だけは覚えてるんですね。まあ、それはいいです。
すえきちさんのお話は、ジャグリングを、たまたま見かけて習得するというのは、テレビがあった時代なら珍しいことではなかった可能性があるということです。たとえば、こんな例が。
JJFに毎年参加されている大阪のプロジャグラー三好さんは若いころ(1990年代半ばのはず)NHKに少しだけたまたま流れたポール・ポンセの映像を頼りにジャグリングを学んだと聞いています。(それでいて99年当時には5クラブができていました。 私の目の前で500キャッチを見せてくれた記憶があります。 わたしも当時は信じられませんでしたが・・・)
以前ディックフランコにインタビューしたことがあります。彼はすでに50歳を超えるジャグラーですが、最初ジャグリングに出会ったのは20歳のころ、ビーチで誰かがジャグリングしてるのを見たから、と。(彼いわく、できたらもてるんじゃないか?みたいなよこしまな気持ちがあったから練習してみたとかだった気が)このことからもアメリカではずいぶん(日本よりは)ジャグリングに親しむ機会があっただろうと私は思います。
また、ヨーロッパのジャグリング大会、EJCがスタートしたのが1979年、IJAは1969年で、すでにアマチュアの数は相当あったのではないかということです。そして1982年ですでに5クラブで分単位の記録が出ていたと。
確かにIJAの古いビデオを見ると、80年代ファッション、80年代の髪型の人々が、それなりに高度なジャグリングをやっている映像が入っていたりします。
アマチュア層もそれなりの厚みを持っていただろうことから推測して、「5ボールを思いついたというにはちょっとひっかかるんです」というのが、すえきちさんの指摘です。
でも、どうでしょうね。3ボールカスケードができている人が、演繹的に図を描いて5ボールカスケードを想像する、というのはありえそうな気がします。まあ、本当に本人にしか真相は分かりませんけどね。
2007年12月25日
25年前のジャグリング(その2)
5ボールカスケードの映像をYouTubeで公開している数学教授のジャグラーに、どうやって5ボールカスケードを習得したのか聞いてみました。1982年、17歳のときに5ボールができていたというのは、ちょっと驚きです。
やっぱり予想通り、誰に教わるでもなく、自分で5ボールカスケードを思いついたという話です。すごすぎる。
紙の上にいろんな瞬間のボールの位置を書いてカスケード軌道を「想像した」というんですね。5ボールのやり方を自分で思いついたということです。映像を見たわけでも、アニメーションを見たわけでもないというわけですから、すごいです。
さらに、卓球テーブルを傾けてボールを転がす練習をしたそうです。テーブル上だとボールがゆっくり動くので、いきなり投げるより簡単だからで、その練習方法も自分で考案したといっています。
テーブル上のボールの動きに充分慣れてから、実際に空中にボールを投げたと言っています。
欧米人のかなり多くの人がジャグリングとの出会いは「Juggling for Complete Klutz」(超ぶきっちょのためのジャグリング)とか「Beyond the Cascade」(カスケードを超えて)の2冊の本のいずれかだと答えます。この2冊は1990年代前半の出版ですから、やっぱり1982年には、書籍の情報すらまともになかったんじゃないかという気がします。
ぼくは、こういう人こそ、本物のジャグラーだと思います。ある種の天才がなければ、こんなこと絶対に無理です。
ぼくは子どものころに3ボールカスケードや2イン1ハンドはできたので、4ボールのやり方も、実は分かっていました。要するに片手ずつ2個やればいいんでしょ、と。シンクロファウンテンとスプレッドまでは自明ですから、実際に試してみたこともありました。ただ、まったくできる気がしないんですよね。それで3分以上練習したことはありませんでした。「きっと、これはやり方が違うんだ。こんなことは人間にはできない」と思ってしまったんです。あるいは、子どものときにサーカスで学んでいないとできないことなのだろうと思ってしまいました。
もちろん、「おそらく5個のジャグリングは可能」ということ自体は、1982年にアメリカに住んでいた17歳は知っていたでしょう。でも、それにしても「自分にできる」と思えたところあたりに非凡さを感じます。「理論的には」と結果を想像して、そこに突き進めるというのはある種の才能ですよね。
この数学教授は4x4x4のルービックキューブをやりながら歌っている映像もYouTube にアップしていますが、もしかするとこれも自分で解法を見つけ出したのじゃないかしら。聞いてみよう。
2007年12月23日
25年前のジャグリング
ものすごく気になるジャグラーがいます。数学の教授らしいです。以下の映像、表情といい体の傾きといい、軌道の異様な低さと幅の広さといい、まったく普通じゃありません。
この映像に対して「なにこれ、もっと5ボールはふつう高いよ。高く投げれば安定するよ」というツッコミを入れてる人がいます。違う! ホントにYouTubeにはパッと見で見当外れのことを書く奴が多い。
これは1994年、29歳のときに撮影した映像という話です。彼は今42歳でしょうか。教え子とおぼしき学生が「年寄りの微積分の教授が、こんな才能を持ってたなんて!」とか書いています。
もっと驚きは、17歳のときに撮影したという5ボールカスケードの以下の映像です。1982年といえば、撮影器材も高価だったはず。VHSビデオすら普及が始まったばかりのころです。そして何より、周囲にサーカスの人でもいない限り、現物のカスケードを見ることはできなったんじゃないかと思います。ジャグリングに関する情報も、せいぜい書籍ぐらいしかなかったはず。もちろんインターネットはまだありません。サイトスワップが発明されたころ、数学の研究者がどっとジャグリング界になだれ込んできたという話ですが、それは1984年以降の話だったと記憶しています。
25年前に、どうやって5ボールを覚えたのか、ある意味、まったく謎です。今直接本人に聞いてみていますが、周囲にジャグラーがいたようにも思えません。あまりに軌道が低いから、文字による記述だけで挑戦したんじゃないかという気がします。もしかしたら、純粋に自分で思いついた可能性もあります。とすると、なぜ「自分にも5ボールはできる」と思ったのかが気になるところです。できる、と思わない限り、そうそう練習を続けられるようなものじゃないと思うんですよね。ほかの映像もいくつか見てみましたが、「変人」という形容が当てはまりそうな人です。何というか、独特です。意味不明のビデオがいくつかアップされています。まるで「どう見られるか」を気にしていないような感じで、おもしろがっているように見えます。そういう人だから25年前に5ボールとかできちゃんじゃないかな、というのがぼくの感想で、たいそう驚いています。
こうした映像をみて「変なの!」と思うのは、映像世代のジャグラーたちですね。ある意味、理想的な姿に近づいてるのかもしれませんが、みんな同じことをやっていてつまらないという見方もできます。5ボールカスケードという基本技ですら、衝撃的なほど「方言」があったということですからね。
2007年12月22日
6ボール!
代々木公園に行きました。寒そうだし、雨が降りそうだしで、何となく出遅れたら到着したのは3時半。4時には雨が降り出して、ぜんぜんジャグれませんでした。がっかり。暖かいカフェに移動してお茶など。
どっちみち今日は1年で一番日が短い冬至なのでした。日没は4時32分とか。といっても、東京の日没時刻は今日が一番早いわけではなくて、12月の頭から中旬あたりにかけてが一番早いらしいですけどね(参考リンク:http://www.nao.ac.jp/koyomi/dni/2007/hdni13074.html )。
6時からはマラバリ。久しぶりなので、ガッツリと投げました。いつも、いろんな人と話をするのも楽しみなんですが、黙々と投げてたかも……。記録こそ出ないものの、744と6ボールファウンテンが、ちょっといい感じです。特に6ボールは20〜30キャッチが普通に出て、38キャッチが1度ありました。急にリズムと軌道が分かった気がします。要するに2つの頂点を肩幅ぐらいにすればいいってことですね。いや、そんなの分かりきったことなんですけどね。
左手の3in1を練習するのが近道だという気がしています。でも、それはあまりに退屈でできません。6ボールファウンテンのほうが楽しい。一方、何かきっかけがあればスッと伸びるんじゃないかと期待すること早1年(?)、6ボールハーフシャワーは何かが吹っ切れず、20キャッチがやっと。
7ボールは全然だめです。難しい。何かが間に合ってない気がする。
夜は渋谷でビールと餃子など。ゆーたさんとうえやまくんと、ややジャグおたネタで盛り上がったり。
2007年12月20日
ジャグ納め
明日、22日の土曜日は昼過ぎに代々木公園に行って、その後6時からマラバリ行きます。ジャグ納めです。一緒にジャグリマ専科。あ、それは関西大学のサークル名ですが。
2007年12月16日
ジャグリングを使ったテレビCM
2006年のIJAポートランド大会のジュニア部門で銀を取ったトニー・ペッツォ(Tony Pezzo)と、「ミニマン」などと呼ばれることがあるほど小柄なジャグラー、エイドリアン・ポール(Adrian Pole)の2人が、ソニーのテレビCMに出ているようですね。撮影は東京でやったみたいです。そういえば少し前に2人は東京タワーの下でジャグってる映像を公開していました。
このCMって今やってます? 知らないのってぼくだけ? もともとあまり見ないテレビですが、子供ができてからは、さらに輪をかけて見なくなったので、よくわかりません。
トヨタのポルテのCMに続いて、ジャグリングを使ったCMですが、プロデューサーは同一人物? そんなわけないか。ともあれ、ジャグリングの映像が一般に知られるのはいいことですよね。
二人ともちびっこジャグラーですね。トニーのほうは14歳。IJAで入賞したとき13歳。エイドリアンのほうは、まだ12歳! しかも、ぼくの記憶が確かなら、ほんの1、2年前にジャグリングを始めたばかりで、メキメキ上達しています。
2007年12月15日
社会人でも!
ジャグリングを始めた中学生が1年ぐらいでメキメキ上達するのは見ていても、まあ、そんなものかなと心静かでいられますが、ジャグ歴1年という社会人が7ボールにまで手を出しているとなると、ぼく的には、ちょっと心中穏やかではありません。
福岡県のアキヒトさんからメールを頂きました。ジャグ歴1年の25歳で社会人だそうです。とても1年目と思えないレベルです。
ジャグリングを始めた人が初心者でいる期間は年々短くなっているように思いますが、何なんでしょうね……、この上達速度は。
アキヒトさんは1日30分から1時間ぐらい練習するそうです。休日は4、5時間。社会人にしては練習しているほうでしょうか。いつもタカシェンカさんと一緒に練習しているそうですから、いいお手本とアドバイスが常にあるのがいいのかもしれません。
7ボールはまだ13キャッチだそうですが、目標は7ボール、5クラブだとか。PX3も5本買ったというのが社会人的というか、ジャグリング廃人予備軍的というか(笑) だって、社会人が立てる目標じゃないですよ。
ちなみにタカシェンカ(萩原崇)さんの最近の動画は以下。rec.jugglingでも話題になっていましたが、タカシェンカさんのジャグリングは7クラブや5クラブバッククロス、アルバートやっちゃったりとか本格派です。三角形の道具は、ウクライナのサーカス学校で一子相伝的な技術として学んできたという話でしたっけ。大きな道具はゆったり動いてすごく見栄えしますね!
2007年12月12日
技術系ぶっとびビデオ2本
すさまじいリングジャグラーです。アイデアに満ちていてイノベーティブだし、技術力も高い。これは絶対見ないとダメですよ!
もう1つ、気が狂ったような技術系ビデオを。ジョサイア・ジョーンズ(Josiah Jones)が6ボールミルズメスを延々とやっています。こんなに続く人がいたなんて衝撃です。5ボール5アップピルエットから……、とネタバレはやめておます。見て驚いてください。埋め込みリンクが禁止されているので、直接以下のリンクを開いてどうぞ。ちなみに、ジョサイアは7ボールミルズメスもクオリファイ(自己記録は24キャッチ)したことがある、という証言もrec.jugglingに。ほんまいかな……。
http://youtube.com/watch?v=VKDG_3uf2Q8
2007年12月10日
朝青龍のいとこに1000円もらった
久しぶりに会社帰りに駅で練習したら、すごいことが2つ起こりました。
6ボールファウンテンが好調で20キャッチ越えがよく出るなぁと思っていたら、いきなり40キャッチの自己記録! ジャグリングで記録が出るなんて本当に久しぶりのことで、うれしかったです。
30キャッチを越えるぐらいのときに、リラックスしたままボールがまわりはじめたので、かなり焦りました。「これって、いきなり50キャッチいけるかも。え、うそ!」と、思ったらドキドキして、40キャッチちょうどで止めてしまいました。うーん、亀の歩みですが、かすかに上達してる気がします。
と、好調だなと思ってたら背後から「すげぇ!」の声が。
いきなり「お前すごいよ」と言って、見ず知らずの酔っ払いに抱きつかれました。ごっつい感じの30代。スーツを来ています。
酔払:お前、すごいよ、これ、趣味だろ? 西村:ええ、まあ……。 酔払:感動した! 西村:ありがとうございます。 酔払:俺なんかさ、何もできないよ。俺なんだと思う? 西村:えっ、うーん、会社員? 酔払:何人だと思う? 西村:日本人でしょう? 酔払:俺、モンゴル人 西村:ほんとですか? 酔払:朝青龍って知ってるか? 西村:モンゴル人ですよね。 酔払:俺のいとこだよ。 西村:えっ、ほんとに?
酔っ払いは外国人登録証をぼくに見せました。確かに外国人で、言われてみれば、かすかに日本語になまりがあります。
酔払:俺モンゴル帰ったら金持ちだから。月に3000万稼ぐからさ。 西村:へぇー、そうなんですか。 酔払:だから、これ、1000円やるから、もうちょっと見せてよ。 西村:え、いや、お金はいいですよ。 酔払:いーから、いーから。よしっ、やってみて。 西村:じゃあ、ちょっとだけ。
4個と5個でやったら大喜び。近くにいる友達を呼ぶというので待っていると、確かに電話で聞き慣れない外国語を話します。モンゴル語って耳にしたのは初めてですが、韓国語のなかに、いくらか西アジア風の音が混ざっているという風に聞こえました。
電話では日本語とモンゴル語が混じっています。日本語では、こんなことを言ってました。「はっきりいって結婚は失敗だよ! 女房とは別れる。うんうん。あーっ」。
そうこうしているうちに、どこからともなく女性が現れました。ぽかりと男の頭を叩くと、ぼくに向かって「すみません」と日本語で、いいました。男を引っ張っていきます。何やらモンゴル語で言い争っています。
ぼくは女性に向かって、奥さんですかと尋ねました。「はい、すみませんね、いつもは全然おとなしくていい人なんですけど、今日は忘年会で飲みすぎちゃって……」。「あの、朝青龍のいとこってほんとですか?」。「え、ああ、ほんとですよ」。
ふと見ると、地べたに腰かけていた場所に、ラガーマンが頭につけるプロテクターのような防寒具が転がっていました。彼は「ああ、俺の俺の」と拾い上げたんですが、その防寒具がいかにもモンゴルっぽいんですよ。日本の会社員のようなグレーのスーツなのに、頭にはモンゴルの防寒具。
ともあれ、どうやら朝青龍のいとこにジャグリングを見せて1000円もらった、ということで間違いなさそうです。確かに顔もどこか似てるし、何よりごつい。
もらった名刺にある会社名を検索したらトップページにはアジアの地図が現れました。驚いたことに東京とウランバートルがピカッと光っています。うーん、背後にどんな経緯や背後があるんだろうか。朝青龍といえばモンゴルでは名門の家系ですよね。そのいとこが日本の中堅IT企業で営業マネージャー……。ふだんはおとなしいいい人が、酔っ払って「女房とは離婚だ!」と叫び、見ず知らずのジャグラーに抱きつく。
お金や家系はあっても苦労してるんでしょうかね。
2007年12月08日
すごいパームスピニングのルーチン
手のひらでボールを転がすパームスピニングには大別すると2種類あります。1つはクリスタルボールを使い、ボール同士が接触したまま回転させるもので、コンタクトジャグリングの1種とみなされています。
もう1つのやり方は、ゴムやシリコンのボールを使って、ボール同士を離したまま回すやり方です。発祥がどこかとか、どのぐらいメジャーなのかは知りませんが、1995年のIJAでトニー・ダンカン(Tony Ducan)がすばらしいルーチンをやったのが有名です。
その影響なのか知りませんが、日本のジャグリング界では、この非接触スタイルのボールスピニングは、それなりに人気があってできる人も多い気がします。
ただ、ふと気づくとマイナーになっているように思ったんですが、それは錯覚? あまり最近みていません。そもそも海外ではトニー・ダンカンぐらいしかやっているところをみたことがありません。
というわけで、2年ほど前にYDCのイケさんに撮らせたもらったデモンストレーションをアップしました。すげえですよ、これ。ぼくはやってみたかったけど、腱鞘炎になりそうな予感がして諦めました。
2007年12月06日
なぜクラブは並ぶのか
12月22日土曜日は、今年最後のジャグ納めの予定です。代々木、マラバリ行きますぞ! いや、納めるほどそもそも代々木もマラバリも行ってないんですが……。
ジャグヲタ女子高生ジャグ界のアイドル、エミリーちゃんの5クラブカスケードの写真を撮っていたときに微かに気づいていたんですが、5クラブカスケードではクラブが2本ずつ綺麗に並ぶ瞬間があるんですよね。これって5クラブできる人には常識?
上手な人の5クラブカスケードを見ていると、同じ高さにとどまってパタパタとその場で回転しているような錯覚を覚えることもあります。
これは錯覚ではなく、実際にクラブは並ぶようです。The Mathmatics of Jugglingには、そんな話も出ています。
カスケードでは空中のボールが2個ずつセットになって同じ高さに並ぶ。しかも、クラブの場合には2本が平行になるのも必然なのだそうです。5クラブのダブルスピンでは、2本が互いに180度ひっくり返った平行の位置関係になってすれ違います。クアドラプルスピン(あれ、トリプルだっけな)では、ピッタリ同じ方向を向いて平行になる瞬間がある。
平行になる理由は割と単純で……、と、あれこれ数式が並んでいましたが、ぼくはそこまでは読みませんでした。
もう1つ、The Mathmatics of Jugglingのネタで驚いたというか、妙に納得したことを。
4個ボールをピラミッド型にしてパームロールってやりますよね?あれ、3個のボールの上に乗った1個は、非常にスムーズに回るわけですが、不思議に思ったことはありませんか? 自明なようで、自明ではありません。摩擦のあるゴムボールでもなめらかに回る。接触した状態でも回るわけで、つまり、歯車のようにある比率ですべてのボールがうまくかみ合って回っているということです。
同じピラミッドを床に転がすと、何と驚くべきことにピラミッド型が崩れることなくスムーズに床の上を転がったりします。ピラミッドから手を離せば重力で上のボールが下の三角形を崩してしまいそうなものですが、直感に反してそうはなりません。不思議。
このへんのことを、The Mathmatics of Jugglingでは、ちゃんと三角関数を使って計算してくれています。さらにそこから驚くべき結論が!
ピラミッド頂点のボールは、下の3個の回転とは反対方向に回りますが、その回転速度は、下のボールの回転速度よりも速い。回転速度の比率はボールを積み上げるアングルに依存します。上下のボールの中心を結んだ線が床と作る角度と52度になるときに、最大になり、だいたい4.2倍の回転速度になるらしいです。
どうりで頂点のボールがグルングルンと異様に高速に回るわけです! 下の動画を見ると、トマトが狂ったように回っているのが分かります。
いやぁ、数学って役立ちますね。いや、ピラミッドのパームロールなんて生活には何の役にも立ちませんけど……。
2007年12月02日
宇宙に1つしかないカスケード
だいぶ前に買った『The Mathmatics of Juggling』(Burkard Poslster、2002)という本が実はおもしろいことに気づきました。前半半分ほどはサイトスワップの基本的な定理と証明が延々と続く、いかにも数学っぽい本で、通読するには退屈だなーと思っていたんですが、後半のほうは各トピックが独立していて短く、それぞれ非常に興味深い内容になっています。拾い読みするだけでもおもしろい。

中でも一番の驚いたのは「多体問題」に関するものです。割と最近、1990年代に入ってから、ジャグラーにとってはロマンはかきたてられる、こんな予想がされています。
「銀河に1つぐらいか、あるいは宇宙に1つぐらいの存在確率で、8の字を描きながら3ボールカスケードの軌道を回る3つの恒星系が存在するだろう」。

互いに重力を及ぼし合う天体の運動というのは、重力多体問題とかN体問題(Wikipedia:N body problem)と呼ばれ、古くから解くのが難しいとして知られています。18世紀後半に数学者のオイラーとかラグランジュが、簡単なケースで3体問題の解を求めています。1つは太陽のまわりを反対側に位置する2個の天体が円運動するモデル。もう1つは円軌道上を3等分したところに3つの天体が存在するモデル。
これ以外では、非常にカオティックな振る舞いをして、それぞれの天体の質量や位置、速度などの初期条件の違いによって、まったく予測困難な動きをするようになると考えられているそうです。
ところがカスケード軌道は、どうやら比較的安定で、多少の初期条件の違いであればしばらくは大きく軌道が乱れることなく運動を続けるらしい、ということが1993年に示されたそうです。軌道が乱れても再び安定な位置に落ち込むような、そういうバランスが成立しているわけではないようです。だから非常に存在確率が低いということでしょうか。
カスケード軌道が比較的安定した解だと分かった後にも、いくつも新しい解が発見されているそうです。どうやら奇数個であれば、必ず安定したカスケード軌道がありうるということのようです。うーん、ジャグラーならすぐ考えることですが、3体問題で正三角形の頂点に質点があるモデルを3ボールシャワーとすると、nボールシャワーは一般に可能ではないんでしょうかね。ちゃんとこの本を読めば書いてあるのかもしれませんが、読んでいません。
自明でない軌道もたくさんあります。ぜひともアニメーションでみてみたい! 3カスケードも含めて、いずれも等速度の運動ではないはずですが、といって、ぼくらジャグラーがよく知っている単純な加速度運動とも違うはずです。互いに互いを束縛しつつも、ある種のサイクリックなハーモニーをもって運動するんでしょうね。

ちなみに上のような解のすべてが実際に我々が住んでいるような宇宙で成立するわけではないそうです。引力を距離dの関数で「f(d)=d^(-b)」と表したとき、「b>1」でしか成り立たない解もあるそうです。うーん、あれ、われわれの宇宙は「b=2」じゃないの? 「b=1」と、この本に書いてますが、2次元+時間で考えるとb=1なのかしら。よくわかりません。ともあれ、こういうネタが好きな人には、この本おすすめですよ。
追記:アニメーションありました! http://www.soe.ucsc.edu/~charlie/3body/をどうぞ。これは美しいですよ。10個とか20個の質点が本当にこんな運動することがありうるのかと、にわかには信じがたいです。「8 on a daisy」とかみてみてくださいよ、驚愕です。
もっとすごいパターンは、http://www.ams.org/featurecolumn/archive/orbits4.htmlあたりにも。あまりの驚きでウットリです。
2007年12月01日
海外ジャグリング事情あれこれ
伝説のナンバーズジャグラー、ブルース・サラフィアン(Bruce Sarafian)がジャグリング界に復帰したようです。1990年代に「ナンバーズの神」と言われた人で、今でも世界記録をいくつかもっています。8ボールなんかはガットーに負けてると思いますが、それでもまあすごいです。10年以上前の時点で、10〜12個で記録を出しています。
サラフィアンは赤ちゃんが生まれてジャグリングから離れていたと聞いたことがあります。今は何才ぐらいなんでしょうね。またナンバーズを始めたなんて言ってます。
話が飛びますがグリーシャが7ボール7アップのダブルピルエットができるそうですね。まじか。
久しぶりにYouTubeでいろいろ見ました。
ハワイのサーフィンジャグラー。一発ネタというか、誰でも1度は思いつきそうなあれですが。
見どころいっぱいの「British Juggling Convention 2007 - Part 2」。イギリスにはいろいろすごいジャグラーがいますね。映像に出てくるのはイギリス人ばかりじゃないですけど。
もしまだ見ていないならBJC2006の映像もおすすめ。ちなみにBJC2007のPart1は、あまり見るべきものがありませんでした。
ジャグリングと関係ないですが、Elena Popovaという人のサーカス芸。かかとがすごいですよ。片足のかかとでブランコをやるのは「popova」という名前がついているそうです。世界中でも彼女しかできない技だからだそうです。
ヴラディックです。うーん……、きもい。確かに新しい表現だし、すごいんですけど、何だかなあ。ぼくには才能と時間の浪費に思えます。