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2007年09月24日
感動のJJF2007 チャンピオンシップ
行ってきましたジャパン・ジャグリング・フェスティバル2007静岡。最終日は早めに引き上げて東京に戻りましたが、いやー、すごかったです。正直いって今年は去年の盛り上がりを超えられないだろうなと思っていたのですが、ある面では去年を上回るものがあったと思います。
参加人数は300人強。これは昨年の400人超えには届きません。しかし、長く実行委員を続けているくったんによれば、静岡という開催場所を考えると300というのは非常に多いそうです。年々ジャグリングが普及してジャグリング人口が増えているのは間違いなさそうです。参加者名簿を管理していた実行委員の1人によれば、東京以外からの参加が非常に多くて、かなりの広範囲からジャグラーが集まったということです。
JJF2007の華の1つはチャンピオンシップですが、そこで何が起こったかを端的に言うと、関西旋風が巻き起こったということと、これまでのめざましい技術向上に加えて、パフォーマンスの完成度で大幅なレベルアップをした、ということだと思います。
これまでの日本のジャグリングの進化が縦方向だったとすると、今年は横方向にぐーんと幅が広がった感じがします。パフォーマンスの見せ方だけではなく、道具や技のバリエーションにぐっと多様性が出たように思います。ヴォヴァやガットーみたいな生粋のジャグラーはまだ現れていないかもしれませんが、日本のジャグリング界は、もう世界の背中を見て追いかけていないんだなとつくづく思いました。技の難易度、多様性、オリジナリティと、どれをとっても世界のジャグラーに多大なインパクトを与えられるところまで来ていると思います。DVDの「匠」が海外で売れていると伝え聞きますが、JJF2007のDVDが出たら、すごく世界的に話題になると思います。海外ゲストのジェイ・ギリガンもエリック・アベリも、しきりに多様性と独自性をほめていました。ヨーロッパのコンベンションに行くと、みんなクラブばかりやっててボックスを1日中やってる人というのはいないんだそうです。ジェイもエリックも体育館で何か技を見せてと言われて困惑した、と言っていました。「キミらのほうがずっとすごいことやってるじゃないか!」と。
ジェイは伝統的なサーカスやショーのジャグリングのスタイルを壊して、サイトスワップだとか前衛っぽい動きだとかを採り入れてきた第1世代だと自認していると胸を張ってきました。今後はヨーロッパのように多様なスタイルのジャグリングを受け入れる風土を、故郷のアメリカに持ち帰りたいという思いが強いそうです。その一方、コーメー君やマサキ君のような次の世代に対して、非常にわくわくしているんだと言います。ほかの芸術形式に比べてジャグリングはまだ始まったばかり。まあ10年か20年か、人によっては50年というかもしれませんが、ともかく近代的なジャグリングは歴史が浅く、表現の幅は急激に広がってきていますよ。そういう芸術活動の一端を担っていること、あるいは担ってきたことがジェイの矜持であり責任感を感じる部分でもあるのでしょう。
ヨーロッパには、新しいジャグリングを受け入れる環境があるけれども、アメリカや日本にはまだありません。ジェイは、そういうアメリカの現状を何とかしたいと思っています。コーメー君やマサキ君にはヨーロッパに行ってほしいと思っています。受けられる刺激も多いし、パフォーマンスがやりやすい環境があるから、若い2人にとってはいいんじゃないかと。
もしこの先日本でやっていくなら苦労が多いはずだけど、ちょっとずつちょっとずつ変えていけるはずだ、とも言っていました。大道芸フェスティバルようなもので顔が知られれば、ちょっと変わったことをやってみる。次の年には、もっと変わったこともできる。というように、徐々に徐々に変えていくしかないんだと、そんなことをジェイは言っていました。彼は自分がやりたいことを好きにやっているタイプのアーティストという印象をぼくは持っていましたが、全然そんなことはありませんでした。もっとプラクティカルな行動派です。現実に対して働きかけて自分の思うものを形にし、自分がいいと思う文化や環境を作っていこうとしています。必要とあれば妥協もする。思わせぶりな理想を語ったりもしません。ぼくには意外でしたが、すごく現実主義者だし、サービス精神も旺盛です。「なぜそれをやるのか」「なぜ、その観客の前でそれをやるのか」。そうした問いに答えられないようなことはやらないんだと言っていました。
あ、ジェイの話はインタビューをしたので、協会誌で、ちゃんとまとめます。1時間半もしゃべりました。しゃべり出すと止まらない人ですね、ジェイは。30歳を迎えて本人はおとなになった、落ち着いた(more calm)といっていましたが、言葉の端々に漏れてくるエネルギーや情熱にはすごいものがありますね。ステージもエネルギッシュでしたよね。
JJF2007チャンピオンシップの結果と個人的な印象を手短に書こうと思ったんですが、ちょっと長くなりそうなので今日は個人部門優勝の1人だけ。もちろんここで書く結果は非公式のものなので、そのつもりで見てください。後で修正するかもしれません。
個人部門1位はデビステの「エス」こと、秦(はた)さんでした。大阪大学医学部4年生でパティオ所属だそうです。すでに書きましたが今年は関西勢の活躍が著しかったです。また改めて書きますが、2位は京大ドーナツの浅野雄太さんの3ボールルーチンでした。

個人部門1位の秦さん(エスさん)
ミルズメスやアルバートなど、ボールやクラブのトリックにインパイアされたと思われるトリックや、2本のスティックだけで1つのショートルーチンを見せるなど会場をどよめかせ続ける非常にオリジナリティの高い演技でした。おでこに載せたスティックを背中に落として蹴り上げ、そこから演技に入るというリングでよくある技も、ありました。会場は本当に驚きに包まれていました。前人未踏の技を次々と繰り出し、デビステアルバートをノードロップでがんがん決めたときには鳥肌が立ちました。ぼくを含めて観客にはトスジャグラーが多くて、デビステの最新事情を知らないから、なおさら驚いたということもあったのかもしれません。デビステのアルバートは前人未踏というより、ちらほら試している人はいるけど、まだ誰もまともにできないという状態らしいです。

これはステージではなく、パレードの途中で秦さんが見せたアルバート。ステージ中のアルバートはうまく撮れませんでした……。
会場で何度かスタンディングオベーションが起こりました。それよりもすごいのは、喝采が起こる直前の瞬間、客席全体に鳥肌がさーっと広がっていく感じが分かったことです。度肝を抜かれて、みんな言葉を失っていました。そういう空気が確かに会場を包みました。
決めポーズや身のこなしが非常に洗練されていて、神々しくすらありました。よく覚えていませんが、全体を通してドロップは1回あったかどうかという完成度(後でご本人に聞いたら3回だそうです)。全身にみなぎる緊張感が、ルーチンを徐々にこなしていったときに自信と力強さに取って代わっていくのが分かりました。決めポーズの表情が良かった。達成感と満足感に高揚してほおが紅潮し、やや涙目になっていたように見えました。
これでもかと左右の観客にアルバートを長々と見せつけたときの、技の滑らかさと安定感にしびれました。見ていて落とす気がまったくしないんですね。神がかっていました。何かが取り憑いている感じ。圧倒的な存在感でエネルギーを会場に向かって放っていました。それは、まぶしいオーラとなって会場の観衆を包み込んでいました。ルーチンやトリックの完成度という「ジャグリングの領域」を超えたところで、手が痛くなるほど拍手をしたくなる何かが確かにありました。感動しました。

特別賞、3位、2位と入賞者が発表されて、最後に1位の発表が残ったとき、ぼくはすでにカメラのレンズを秦さんに向けていたのでした。
約6分のルーチンを800回通しで練習したと聞きました。ふつうのパフォーマンスだとせいぜい300回が相場で100回程度ということも少なくないといいますから、尋常ではありません。でも、それだけの価値があったということでしょうね。
秦さんは医学生なので6年コース。4年生(関西弁では4回生)の今年やりこんだので、当面は大会など目指すことはないという話でした。将来は是非ドクター自ら患者を楽しませるクラウニングドクターを目指してほしいと思います(笑)
ご本人に対して、感動しました完璧じゃないですかという話をしたら「いや、実際ビデオ見返してみたら、たいしたことないですよ、きっと」といって笑っていました。自分のことを笑ってみせるというの気取りのなさが、ちょっと関西人っぽいなぁと思いました。ともあれ、本当におめでとうございます。スティックにかけた情熱と、ステージで出し切った実力に、みんな感動したと思います。そういう意味ではおめでとうよりも、ありがとう、というほうが適切かもしれません。いいものを見せて頂きました。
投稿者 ken : 2007年09月24日 23:00
コメント
はじめまして。今年の3月からジャグリングを始めた31歳です。興奮のあまり初コメントします。チャンピオンシップからゲストステージまでしか居られませんでしたが本当に貴重な時間を過ごす事ができました。 普段全くの1人でやってるので体育館にあれだけのジャグラーがひしめき合ってるのは圧倒的でした。チャンピオンシップを見た妻は(今まで否定的だったのに)「ジャグリングすごいじゃん!」と感動してました。5才の息子も完全に魅入ってました。 パレードもみんなとの一体感があり良かったんですが、周りの一般の方との温度差が少し気になりましたね。なんか変な事やってるねー、で通り過ぎてった感じが。ゲストステージ西村さんの4列程うしろで見てました。とにかく感動でした。しばらくほかの事考えられそうにありません。なんかとりとめもなく長くすいません。さいごに謝罪を。体育館で西村さんを見つけミーハーな僕はこっそり練習風景の写真を撮ってしまいました。ごめんなさい。
投稿者 よしあき・H : 2007年09月25日 00:56
よしあきさん、はじめまして。
興奮しましたよね! それが非ジャグラーも同じだっとは
うれしいですよね。ジャグリングを始めて半年で、あの
体育館の様子や、あのパフォーマンスを見たら、
衝撃でしょうね、きっと。
写真ぜんぜんオッケーですよ。ブログがあるなら載せて
やってください。むしろ、ぼくは自分の写真が
全然ないので、メールで送ってほしいぐらいです。
後ろにいたなら声をかけてくださればよかったのに (^^)/
投稿者 西村 : 2007年09月25日 10:16
ブログやってみたいんですがパソコンも3月から始めたばかりなので・・・。というよりネットが使えるようになって、ジャグリング講座や動画が見える環境になったことがジャグリングをちゃんとやってみようという気にさせてくれました。
その中でも練習日記は、全然上達しない時なんかに読むと練習さえ続ければなんとかなると励まされました。西村さんが僕の中で1つの目標になってますからね。ってサイトスワップにはほとんど手を出してませんが。
お言葉に甘えて次に見かけたら声かけてしまうかも。でも来年のJJFまでそのチャンスはないですね。ハッ!大道芸ワールドカップにはいらっしゃいますか?
投稿者 よしあき・H : 2007年09月25日 21:48
通りすがりの実行委員です。
優勝者のお名前は「秦」と書いて「はた」さんですよ~
ゲストステージでは、西村さんの真後ろに座ってました(笑
投稿者 さとら : 2007年09月26日 21:43
よしあきさん、
それでメッセージが書き込めればブログも同じですよ(笑)
適当なブログサービスでIDを取れば今日からでも
始められますよ。ジャグリングの記録を残すと、やる気に
なるしオススメです。あと、過去の自分って忘れるものです。
以前の記録を見て「成長したなぁ」と、思える日が
くるんじゃないかと思います。大道芸ワールドカップは
うーん、難しそうです……。
さとらさん、
そうそう夏目編集長からもつっこみがあって修正しました。
おかしいなぁ、名札を見て確認したつもりだったのに。
投稿者 西村 : 2007年09月26日 21:58