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2007年05月24日
鑑賞眼って何だろうか
世界ビックリ特技コンテストの場とも化しているYouTubeですが、ホントにいろんなビックリ技があるもんですね。
15年ほど前にニューヨークに遊びに行ったとき、地下鉄の駅構内でバケツを叩いている黒人ドラマーの姿に感動しました。夜の遅い時間で通行人はほとんどないのに、汗だくで一人黙々と叩いていました。
バケツの下を脚で挟んでタイミング良く片側を持ち上げることで微妙な音の違いを作ったりして独自の世界を作っていました。たくましい腕にきらめく汗が印象的で忘れがたい思い出です。
ニューヨークはすごいところだなと思いました。リトルイタリーでタキシードを着て直立不動の姿勢でギターを弾いていたギタリストも、タイムズスクエアでアクロバットをやっていた少年たちも、感動を覚える技量でした。逆に、パリに行ったときに見かけたアコーディオン弾きや、オーボエ吹きといった人たちは素人が見ても平均以下の才能しかないことが分かるほどだったりして、レベルの差が歴然としてるなと思ったりしました。パリに比べると東京のストリートミュージシャンのレベルは高いと思います。でも、ぼくが知るなかではニューヨークがダントツ。
「バケツドラマー」というのは、今ではたくさんいます。この間出張で行ったサンフランシスコにもいました。ワシントンDCにもいるようです。YouTubeで関連動画を見れば、例によってずるずると芋づる式に出てきます。
ぼくが15年前に見たニューヨークのバケツドラマーは「Larry Wright」という人じゃないかと気づきました。この動画の人です。もっとハンサムだった気がしますし、もっと「魂の叩き」という感じのエネルギッシュな演奏で、こんなにテクニカルなものじゃなかった気もしますが、まあ、そのへんぼくの脳内で記憶が変容しているのかもしれません。
別の動画にインタビューがあって、もう長らくニューヨークの地下構内でドラムを叩いていると言ってます。少なくとも奥さんと出会った13年前にはすでに叩いていたというので、15年前にも叩いていたとしても不思議じゃないです。いつも週に7日、休むことなく叩いているといいます。通勤客にもファンが多いとか。
ブロンクス生まれの彼は、子どもの頃にはホテルのようなところに住んでいて、母親がゴミ捨て場か何かで仕事をしてたので、バケツを叩くようになったと言っています。誰もやっていないようなスタイルでやってみようと思った、とも。
ということは、彼は誰かを真似たのではなく、バケツドラムのオリジネーターである可能性が高い。やっぱりぼくが見たのは彼だったのじゃないか。
ほかにも、バケツドラムには、こんなのがあります。
さて、今はニューヨークに行かなくてもストリートドラマーを見て、ちょっとした感動を覚えることができます。YouTubeはすごいですねぇ。
しかし、それってある面では寂しい話ではないかなと思ったりしました。どこに行って何を見ても、たいていのものは「ああ、見たことある」ということになりかねません。あまりたくさんいいものを見過ぎると、感動のスレッショルドが上がってしまうんじゃないかなって。
鑑賞眼というのは、本物とかいいものだけをたくさん見ることで養われると言うのがふつうですが、ジャグリングはどうでしょう? あまりジャグラーが露出してしまうと、ちょっとやそっとじゃ感動してくれなくなります。
アンソニー・ガットーがいい例です。あれほどの人でも、ここ2年ほど映像を出し過ぎたせいで、みんな麻痺してきていますよね。フランシス・ブランとかボビー・メイとか、ジャグリング史に名を残すような人たちは、残っている映像がわずかしかないので、かえって感動を呼び起こしやすいんだと、IJAのジャッジをやってるScott Selzterが言っていて、なるほどそうかもなぁと思いました。ガットーの映像が2本ぐらいしかなければ、もっとジャグラーたちは彼を尊敬するんじゃないかなと思ったりもします。
まとまりのない話ですが。
投稿者 ken : 2007年05月24日 23:43
コメント
ずばり、「芸」ということだと思います。
生であれビデオであれ1千回見ても面白いものもあります。それが芸なのかなと。
見飽きるものは、ようするに、ある面でその程度なのかもしれません。もちろん見る人との趣味の相性もあるでしょうけども。
http://www.youtube.com/watch?v=jv6f26RNLqY
プロなら芸がないといけないんだと思います。
投稿者 にしの : 2007年05月25日 20:15
うーん、芸ですかぁ。それはまた抽象的な概念ですね(笑)
見る側の好みとか経験も強く影響するでしょうし、
何が芸かというと難しいですよね。
自分がパフォーマンスっぽいことをやらない、特別に
パフォーマンスに興味のない、ふつうの人であれば、
どんなものであれ10回も繰り返し見たくないんじゃない
でしょうか。
投稿者 西村 : 2007年05月27日 17:27
NYに行けばバケツドラマーよく見かけますね。
上手下手が色々あるのもおもしろい。
まったく同じパフォーマンスであれば、
ふつうのひとは3回も見ればもうおなかいっぱいでしょう。
私がまだ寄席ファンでしかなかったころ、ボンボンブラザーズ
が出てくると、また同じことしかやらないとちょっとテンションが
下がりました。でもジャグリングを始めた後に見た彼らの芸は
輝いて見えましたね。偉大なるマンネリとでも言いましょうか。
まったく同じものを見せて飽きさせない(飽きてもかまわず見てくれる)ためには、技のすばらしさ以外に、祭りの場とか宗教とか
なにかしら付加価値が必要なのだと思います。
投稿者 くろせ : 2007年05月30日 08:33
なるほど、マンネリを楽しめるというのはあるかもしれません。
寄席とか、そうでしょうか。
繰り返しでハイになる踊りと同じで、分かっていても
盛り上がるという芸はあるように思います。
それは祭りのような「場の共有」かもしれませんね。
投稿者 西村 : 2007年06月04日 23:42