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2006年03月19日

モ・チョイデの悪魔

天才アンソニー・ガットーが気になることを言ってます。最近毎日のように9ボールカスケードを練習していて、だいたい200キャッチは問題ないそうです。ところが、自己記録(ガットーの自己記録とは、そのまま非公認世界記録です。公認世界記録は去年ガットーが打ち立てた250キャッチ)の340キャッチに近づくと、「あの声」を聞くそうです。

ジャグリングをやってる人なら、みんな、ああ、あれねと思うでしょうか。「あっ、100キャッチ行きそう!」とか「あっ、記録が出そう!」と思うと、まもなくパターンが崩れて落としたりしますよね。そんなときに聞こえてくる、あの声です。「も、もちつけー! こ、こころを静かに、た、たもてーっ!」と聞こえてきますよね。そんなこと考えなければ、ひょっとしたらすんなり記録も出たかもしれないのに、ヘタに「そうだ、その調子でパターンが広がらないように……焦るな、焦るな」などと意識すると、とたんにパターンが崩れます。

アンソニー・ガットーも、まったく同じことを言っています。

(9ボールを)投げているとき、頭のなかはまったく空っぽ、キャッチ数を数えているだけなんだよ。記録に近づいてくるまで記録のこととか一切考えないんだけど、「もうすぐだ!」という、ろくでもない考えがちょっと頭に浮かんで……。それで、自分のなかの悪ジャグラーが顔を出してきて言うんだ、……パターンを狭く抑えてボールを低めにしたほうが、たぶんいい。少しでも何かを変えたら……、地面にボールが真っ逆さま。

200キャッチは割と問題なく出て300キャッチを越えるとドキドキするってことは、ぼくの5ボールとガットーの9ボールのキャッチ数とドキドキ感は、ぴったり同じぐらいです! 4個差! ちなみにガットーは9ボール7アップは「まだだね」と最近言ってたので、ぼくの「5ボール3アップはまだだね」とぴったり同じ! うーん、4個差! 4個差だよ!

どこで練習してるのか知りませんが、ガットーは5~6平方フィート(=0.5平米で、1辺が約70センチ)の場所で9ボールを投げてたりするそうです。で、記録が出そうなときに限って背後に階段が迫ってきて「もう後ろはないぞ、ちょっとパターンを前に出さないとヤバい」とか思うそうです。世界記録が出るかもしれないっていうのに、そんな狭いところでやるなよと思いません? (笑)

この「もうチョイ!」と心の中で叫ぶ悪魔を、これから「モ・チョイデの悪魔」と呼ぶことにしました。

モ・チョイデの悪魔と戦う方法について、ガットーはこれといって何も処方箋を用意してくれていません。ぼくも、これについては何も解決がないと思います。あるのは練習のみ。ただ、ひとつ言えるのはいったん壁をやぶると、このモ・チョイデの悪魔はその壁から戦線をぐっと引き下げるようです。たとえば今日203キャッチを出して200キャッチの壁を1度でも超えると、180ぐらいではモ・チョイデの悪魔が出てこなくなります。なので、ぼくは「ねばれるだけ、ねばるべき」というのが持論です。パターンが崩れようが甲斐性だろうが、ともかく何がなんでも、その最後の1キャッチはつかむべきです。それで100キャッチが出るか、クリーンに90キャッチで終わるかでは、ぜんぜん次からの心理的な余裕が違ってきます。


そうそう、3月22日にドイツのシュツッツガルトで、ガットーは7リングの世界記録(自己記録)チャレンジをやるそうです。いまの記録は5分22秒だそうですが、よほど観客が飽き飽きしない限りは世界記録を出すつもりだという話です。

投稿者 ken : 2006年03月19日 21:30

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コメント

西村さん、はじめまして。
モ・チョイデの悪魔、私も経験あります。
ジャグリングをはじめて2ヶ月と経たない私ですが、ちょっと私の経験談をひとつ。
練習を始めたころは、ボールを投げるのとキャッチ数を数えるので必死でした。その時はモ・チョイデの悪魔は頭の中にはまったく付け入る隙は無かったらしく(頭の中が一杯一杯)全く意識することはなかったのですが、ある程度上達して、3ボールカスケードで1000キャッチに挑戦しているころから突如
悪魔「もうすぐ500だぞ、体力のほうは大丈夫か?」
悪魔「もうすぐ700だぞ、右手のボールが下がっていないか?」
悪魔「もうすぐ900だぞ、心拍数上がっていないか?」
私「そんなこと無いぞ、そんなことは…」
ボール落とした(泣)、なんてことはよくありました。でも、最近4ボール等を下手くそながら練習していても、悪魔は現れないんですよね。
そう考えると、モ・チョイデの悪魔は上達するに従って影響力が増すんじゃないかと考えています。
初めのころはキャッチ数と腕の動きで頭が一杯で、悪魔は付け入る隙がありませんが、上達すると悪魔が囁いてくる、だから私はモ・チョイデの悪魔は「上達信号」だと割り切っています。悪魔の登場はそれだけ余裕が出来たってことですからね。
そんな風に考えながら練習していると、悪魔も天使に見えてくるかもしれません。ボール落とすと悔しいですけど(笑)
駄文失礼いたしました。

投稿者 miyamotoya : 2006年03月20日 17:49

はじめまして!
一昨年からディアボロを始めて、最近ボールも少しやるようになった高校生です。
僕もモ・チョイデの悪魔の経験はたくさんしています、、、
3ボールで200キャッチいきそうになると(レベルの低い話ですいません…)右手のボール前に出てきていないか?緊張していないか?とか、、、
ディアボロでも2ディアのハイトスをしているときによく起こります、、、
克服方法ないのですかね?全ジャグラーの悩みですよね、、、。

ところで西村さんはよく代々木公園に練習をしに行っているみたいなのですけど、僕も一度行ってみたいのですが、良いでしょうか?そして代々木公園のどこで練習をされているのですか?

投稿者 回覧板 : 2006年03月20日 21:57

miyamotoyaさん、

はじめまして。そうそう、モ・チョイデの悪魔は、無心になってしばらく
すると現れるような気がします。必死にやってるときは出てきません。
「あれ、何でこんなにうまくいってるんだ……。うわー、ボールが勝手に
パターンを作ってるぞ」というような、いわゆる「ニルバーナ(涅槃)の
境地」に入ったときに、現れます。そういう意味では上達していく過程での
1つのポイントかもしれません。

4ボールで悪魔が出てこないということですが、言われてみれば、
ぼくが4ボールで悪魔の声を聞いたのは800キャッチ前後だったように
思います。1000行けそうだと思ったとき、それまで無心で投げていた
パターンに急に不安を覚えて……。

いずれにしても通過点ですから、気にしないことですよね。

回覧板さん、

はじめまして。
そうそう、3個でも5個でも、一番イライラするのはボールが前に
飛んでしまうことですよね。言われてみれば、どっちも直りましたが、
最初のころはひどかったなぁ。

代々木公園は、いつでも是非どうぞ。休みの日なら、ほぼ確実に誰か
いますよ。ぼくは週末の土日のどっちか1日はたいてい行ってます。
場所は、地図↓を参考にしてください。場所は季節とともに
徐々に動きますが、まあ投げてる人を見渡せばすぐにわかります。
あ、雨の日は展望デッキの下で投げたりもしているようです。

http://d-code.org/juggling/archives/yoyogi.png

だいたい1時~夕方6時ぐらいまで誰かしらやってます。

投稿者 西村 : 2006年03月21日 11:29

モ・チョイデの悪魔ですか。名前は可愛らしいですが
たちの悪い悪魔ですよね。
私も最近5カスケードのキャッチ数を気にし始めた所で、
よくコイツと戦う羽目になります。完璧な心理戦です。

処方箋としては、確かに私も練習あるのみだと思います。
「いったん壁をやぶると、この悪魔がその壁から戦線を
ぐっと引き下げる」を言うのも、実に言い得てますね。

考え事をしながら自転車に乗っていると、ふと気づいた時
にはかなりの距離を走っていて、途中の過程については全然
記憶に無いなんてことがよくあります。でも、大事な場所など
に差し掛かると必ず運転に意識を取り戻します。

これが、ジャグリングと良く似てるかなと思ったりします。
最初のうちは無心で投げられても、自己記録に差し掛かると
意識を集中せざるを得なくなってしまいます。自己記録を
単なる通過点と見なす事ができれば、あるいは、なんて。

ところで、モ・チョイデの悪魔は確かに厄介ですが、そんなに
憎たらしくも思いません。普段は決して姿を現さず、大事な時
に限って執拗に自分を追い詰めるいわば人間の深層心理から
湧き出てくるいたずら者。コイツが現れた時の気持ち次第で
自分の弱い部分を、鍛えるとは言わないまでも、徐々にその
影響力を自分に甚大な被害を及ぼさない程度に抑えることが
出来るようになるのではないかなと思います。

囲碁から学んだことですが、ジャグリングにも言えるんじゃ
ないかと、ちょっと変な考えですがコメントしてみました。


投稿者 ケータ : 2006年03月21日 22:23

ケータさん、
自転車やクルマの運転と同じで、ジャグリングもある程度
そのパターンに慣れてくると無意識になるんですよね。
これは「細部への注意」→「全体への注意」と言い換えても
いいのかもしれません。

心理戦ですが、、、、ガットーですら、どうしようもないと
言ってるので、たぶん新しい技に挑戦し続ける限りは
同じことが起こるんじゃないでしょうか。まあでも、
そういうことがわかってきたことで、ぼくは「まあ、いつも
のことだ。要は実力不足」と思えるようにはなりましたけど。

囲碁のたとえがちょっと分かりませんでした……。
囲碁でもやっぱり追いつめられるんですか?

投稿者 西村 : 2006年03月22日 15:10

車は睡眠しながらでも運転できるという話を
聞いたことがありますが、これとはまた別の話
ですよね。

最後の付けたしがちょっと余計でした…。話が
面倒くさい方向に向かいそうだったので中途半端に
囲碁の話を持ってきちゃいましたが、改めて簡単に
説明をば。

碁打ちなら分かりますが、碁を打つとその人の性格
が盤上の一手一手に表れます。上の世界に行くと相手
が何を考えているのかも分かってきます。正確に言えば
表れるのはその人の性格ではなく、深層心理。無意識
の内に出現してしまう自分ではコントロール不能の悪魔
です。

勝ちたい、ここで地(陣地)を稼いでおこう、ここの死活
は大丈夫か、相手の方が地が多いからここで仕掛けなければ
負ける、もっと稼がないと、など本当は正しい一手を知って
いるのに勝負故に余計なことを考えてしまって、否無意識の
内に打つ手を変えてしまうことがあります。これはアマでも
プロでも変わりません。そしてその碁に負けるととてつもない
後悔をする訳です。私も幾度となく味わってますが。

この働きの仕掛役を悪魔と呼ぶことにすれば、地力がありかつ
この悪魔に打ち勝つことが出来れば無敵になれるかと言うと、
そうではありません。この悪魔がいなくなってしまったら、
もうその人の碁ではなくなってしまいます。この悪魔はいわば
長年心の奥底で蓄積してきた裏の自分を顕す鏡、その人たらしめる
大事な要因です。勿論この悪魔を変えることなど出来ませんから、
大事な時に大暴れされない程度にうまく付き合っていく他
ありません。

…っと、また話がややこしいことに。ジャグリングが絶え間
なく何ループものボールを処理していかなくてはならない
のに対し、囲碁は自分のタイミングで一手一手に力を入れて
いる点でジャグリングとは全然異なっています。ただ、追い詰め
られた時に顕れる悪魔には似たようなことが言えるんじゃない
かと。モ・チョイデの悪魔の特性が人によって違うのかどうか
は分かりませんが。

長々と書きましたが、今は碁と比較してみましたが、結局の所
勝負事においては、土壇場の状況では必ずモ・チョイデの悪魔
みたいなのが出現するのではという結論に…(^^;)

投稿者 ケータ : 2006年03月22日 23:14

一つ考えたのですが、自分の最高キャッチ数を少し水増しして
覚えておくと言うのはどうでしょう。

例えば290キャッチで落したら、「よっしゃぁ!310キャッチィ!!」
と叫んで、自分でもそう信じこんでしまうと。

すると、次からの心理的障壁は300キャッチぐらいになって、
実際の自己記録はモ・チョイデの悪魔が現れるまえに超えてしまうという、美味い話が・・・

投稿者 セバスちゃん : 2006年03月23日 08:57

ケータさん、

あ、やっぱり囲碁の話は付け足し的だったんですね。なるほど。
すいません、面倒なところを突っ込んで(笑)

ジャグリングを始める直前に、囲碁も始めてみようと思ったのですが、
そのとき、対戦者は碁盤越しに心理的な会話をするのだということを、
入門書で読みました。うーん、なんとなく分かります。麻雀でも
性格は出ますが、なんと言っても情報がすべて見えているゲームと
見えていないゲームでは、わかり度が違うんでしょうね。

論理と心情ってせめぎ合いですから、理路で割り切れる一手を
信じられなくなることってあるんでしょうね。

ところで囲碁って、すごくおもしろそうに思えたんですが、碁敵が
見つけられなくて……。周囲に一緒に囲碁を始めてくれそうな人が
いなかったんですよね。結局、パソコンの入門ソフトで少しやった
だけで終わってしまいました。

セバさん、

> 一つ考えたのですが、自分の最高キャッチ数を少し水増しして
> 覚えておくと言うのはどうでしょう。

それは「エジャー・ナイカの悪魔」ですね。
やっぱり耳元でささやくわけです、「いや、いまキャッチ数を数え
間違えただけで、ホントは100を越えてたんじゃ……。もう越えたことに
していいんじゃないか?」とか(笑)

そうそう、そういえば、「モ・コエタの悪魔」もいます。
何かの勘違いで、旧自己記録を越えたところで「よっしゃー」と思って
しまって、結局自己記録は越えずにドロップするという現象です。
あとでメモを見ると、「あっ、越えてなかった」なんてこと
になります。

投稿者 西村 : 2006年03月23日 11:59

囲碁が面白そうだと思うのはなかなか凄い
です。私も周囲に碁敵がいなかったので、
囲碁部を兼部してまでやりました。ヒカルの
碁中毒者の一人です(笑)

幸か不幸か、囲碁は確かに物凄く面白いですが、
始めていたらしばらくジャグリングどころじゃ
なかったを思いますよ。なので覚えなくて良かった
かもしれません。勿論ジャグリングに飽きたら
いつでも再開することをお勧めしますが。
ちょっとした趣味を持ちたいと考えている医者に
囲碁を教えることは厳禁です、本当に。

投稿者 ケータ : 2006年03月25日 00:09

> 囲碁が面白そうだと思うのはなかなか凄いです。

囲碁って、そんなにマイナーかしら(笑)

梅沢由香里さんの入門書がなかなかよく書けていて、
本当におもしろそうに思えたんですよね。
「斧が腐る」でしたっけ、囲碁の別称ありますよね。
うーん、ハマるとよほどおもしろいんでしょうね。

囲碁がいいかなと思った理由は、碁会所にいけば
ずっと年上の人とも話す機会があるかなと思ったから
というのもあったのでした。ヒカルの碁の影響で
今は若い人も多いのかな。

投稿者 西村 : 2006年03月26日 20:21

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