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2006年02月08日

ナイーブ・アート、ガラパゴス・ジャグリング

ルーク・バラージがブログでおもしろいことを書いています。芸術の世界、たとえば絵画の世界なら「印象派」だとか「写実主義」といったように、それぞれの芸術家は方法論やスタイルを共有するグループに分かれます。本人にその意識がなくても、たいていは後世に分類されることになります。

ところが、そういう流派なんかとは無関係に絵を描く人々がいて、彼らの描く絵は「ナイーブ・アート(素朴な芸術)」と呼ばれるそうです。日本語の“ナイーブ”という言葉には「すれていない、純粋な」というプラスのイメージもありますが、元のフランス語はどうか知りませんが、英語では否定的な意味で使われることが多いように思います。あいつはナイーブだ、と言えば、世間知らずだとか、単純過ぎる、子どもっぽいといった意味でけなしていることになります。ナイーブ・アートという言葉にも、「原始的な芸術」、もっといえば自己満足的でテクニックや思想性に欠ける芸術未満という含みもあるんだと思います。最近はやりの言葉で言えば「痛い芸術」となるかもしれません。

ナイーブ・アートと目される芸術家たちは、特別な訓練を受けていない人たちです。彼らの作品は、ぱっと見はアートっぽく見えても、よく見ると細部でパースが狂っていたり、あるべきテクニックが欠けていたりすると言います。よく見ると、「なんか変!」という絵です。

ぼくはナイーブ・アートという用語は知りませんでしたが、Wikipediaの記述(http://en.wikipedia.org/wiki/Naive_art)によると、すでに認知されたアートのジャンルを形成しているということです(リンクをたどるとナイーブアート作品の例が見れます)。そういえば、レストランの壁なんかにオーナーの友人が書いたというような絵が掛けられていることがありますが、そういうのからは、たいてい「アマチュアとしては確かにうまいけど、なんか……、ヘンだよね」という印象を受けます。そういうのを喜ぶ人々がいて、それなりの市場が形成されてもおかしくはないなとも思います。

ナイーブ・アートは、一歩間違えると「MOBA(http://www.museumofbadart.org/)」になるのかな、とぼくは思いました。MOBAは「Musium Of Bad Art」の略で、驚くべき真剣さと下手さをもって描かれ、描いた本人にすら捨てられてしまったような絵のことです。興味のある人はリンクをたどって見てください。なんか笑えるような、笑えないような、独特の悲しい世界を作っています。「痛い」を通り越して悲しいです(笑)。

絵画だけじゃなくて、音楽や詩作、文学の世界にもナイーブな作品があるように思います。

で、話はジャグリングです。ジャグリングにも“ナイーブ・ジャグリング”というのがあるんじゃないかというのがルークの指摘で、とても興味深い例をいくつか紹介しています。

14歳のとき、パッシングをはじめたルークは、「きっと正しいやり方はリバーススピンで投げるやり方に違いない」と考えて、ふつうと逆の回転で友人とパッシングをしていたらしいです。確かにキャッチの仕方を変えないとすれば、そのほうが合理的です。

あるいは、けっこう多くのジャグラーがカスケードより先にリバースカスケードを覚えるという例もあげています。ぼくも、中学生のときに母親から何となく3つを教わって、なぜかリバースで投げていました。確か、母は“山崩し”と呼んでいたように思います。

ルークは、さらに驚くべき例を挙げます。彼は最近アンドレアというジャグラーと出会ったそうですが、このアンドレアが、独学でクラブを覚えたというんですね。彼はファウンテンを知らなかったのか、4クラブをトリプル・シングル(53)で覚えた。で、あるとき5クラブカスケードを覚えようという段になって、彼は非常に変わったことをします。あまりにも右手がトリプルに慣れていて、左手がシングルに慣れていたものだから、それぞれをダブルで投げるかわりに、なんと右手でトリプル、左手でダブルを投げるという変則5クラブカスケードを覚えてしまったというんです。左右の高さはそろっていて、あまりにも安定しているため、最初はジャグラーでも異変に気づかないらしいです。で、よく見ると……、ビックリ! 誰もアンドレアに「まちがってるよ」と教えてくれなかったから、そうなったということです。よく見ないと「ヘン」なことに気づかないナイーブ・ジャグリングです。

で、ルークが、6クラブのいちばんカンタンな投げ方は、トリプル・ダブルで投げるハーフシャワーだよと教えたら、アンドレアは「じゃあ、6クラブの練習をやるときにはぼくは有利だね」と答えたといいます。

ぼく自身は、こういう変わったジャグリングは、“ナイーブ・ジャグリング”と名付けるよりも、“ガラパゴス・ジャグリング”と名付けたほうがいいんじゃなかと思います。独自の進化を遂げたジャグリング……。トスジャグリングなんて、別に投げられたら何でもいいですし、鑑賞者は非ジャグラーですから「ヘン」なんてことは何もありません。

日本のお手玉や、トンガで伝統的だったいう遊びでも、女の子たちはカスケードやファウンテンを知らずに、シャワーばかりをやっていたわけですけど、あれも一種のガラパゴスジャグリングですよね。

投稿者 ken : 2006年02月08日 22:58

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コメント

ガラパゴスにもう一票。

投稿者 にしの : 2006年02月09日 00:47

あ、パサージュ諸島のにしのさんだ! (笑)

投稿者 西村 : 2006年02月09日 17:49

初めまして、静岡県でジャグリングをやっているkyです。いつも楽しく読ませてもらっています。
西村さんの記事を読んで、僕の「ガラパゴス・ジャグリング」についてトラックバックでの投稿をしたのですが、
上手く送信できなかったみたいです^^;
よろしかったら読んでみてください。
アドレスはhttp://kmwtr.blog2.fc2.com/blog-entry-176.html
です。事後報告になってしまい、申し訳ありません。

投稿者 ky : 2006年02月11日 14:27

kyさん

初めまして。けっこう前からブログ拝見していますよ。
うーん、確かじゃぐなぎとかに行く人ですよね。
トラックバックありがとうございます。ちゃんと届いていたと
思います。反応しようと思ってましたが、ちょっと
遅くなってしまってごめんなさい。

変則ピルエットの話、おもしろいですね。
いつか現物を見てみたいです。それほど不自然に
感じないかもしれませんね。というか、ピルエットって、
踵ピルエットもありだし、kyさんのようにバックで
回るのもバレーなんかでは、割とあることらしいです。
いや、嘘付いてるかもしれませんけど ^^;

投稿者 西村 : 2006年02月12日 00:34

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