« ジャグリング語源話あれこれ | メイン | マルチプレックスの練習 »

2005年09月06日

右利き、左利き

怪我で1ヶ月以上もジャグリングの練習をしていないというのに、練習日記だけは着々と更新しているという謎。

先週の注射は劇的に効いて、けっきょく痛み止めの座薬は1度も使うことなく済みそうです。日常生活でほとんど痛みを感じないところまで回復して、ここ3、4日ほどは日に日に良くなっていくのがわかるようです。といっても相変わらず肩関節の動きは悪くて、医者に「万歳できますか?」と聞かれて、まさかそんなこと聞かれるとも思わずに驚いたほどでした。上がるわけないし、怖すぎます。実際、あげようとすると痛い。

どうも、若干肩の肉が固まってきているようで、医者も、じょじょに動かしたほうがいいと言ってました。ただ、ちょっと意外だったのは、痛みが引くとともに自然と右手も使うようになっているということ。過去1週間は、お箸も歯磨きもドライヤーもベルトを締めるのも全部左手で、右手はずっとダラーンとした状態だったけど、腕がそれなりに動き始めると無意識に右手を使ってしまうらしい。

本人のつもりとしては「意識して」使わないようにしていたのだけど、やっぱり右手の使用を抑止していたのは痛みに他ならないわけで、人間の身体って良くできてるなと思えてくるのでした。いつになったら練習を再開できるのだろうかと思っていたけど、要するに「痛みがなくなってきたら順次」ということでいいんだろう。


以下、右利き左利きについての雑談で、まとまりも結論もありません。もともとまとまりも結論もないブログを書いておきながら前置きするので、まあひどいものです(笑)。いつもはこういうとき、だいたい書いたものを消してしまうのですが、そのままアップしてみたりして。


大学生のとき、スキーの最中にちょっとした崖から転落したことがあります。2m程度の高さで、別にたいしたことはなかったのですが、落ちたときに思わず地面に突き立てたストックで、手のひらが「ゴキッ」と言いました。右手の親指の付け根にある舟状骨という骨が割れていました。

このとき、2ヶ月以上も左手で生活した経験があります。左利きにとって、世の中がいかに不便にできているかを実感しつつ、かなりのことが左手でできるようになりました。もともと左利きに憧れていたので、ちょうど良かったと思ったものです。

そのときは大学生だったので文字が書けないのは困ります。というので、左手でずいぶん練習したけど、これがなかなか書けません。メモ程度は何とかなっても、試験やレポートという実用レベルでは、まったく無力。仕方なく、右手のギプスからちょっとはみ出ている親指と人差し指の間にマッチ箱を挟み、それで鉛筆を固定して文字を書くようにしてみた。指先が動かないので肘を前後左右に動かして書くので、ふつうに文字を書くのとは違う感覚だったけど、これはすぐに慣れたのです。自分のことながら、この可塑性にちょっと驚いたものです。

もっと驚いたのは、ギプスをハズしたときのほうです。肘で動かすライティングスタイルに慣れたぼくは、なんと、ふつうに指で鉛筆を挟んだスタイルでは字が書けなくなっていたのです。もちろん、3日ほどで書けるようにはなったのですが、しばらくは相変わらず肘を動かして書いていたりして。


右利き、左利きと呼んで、あたかも先天的に2種類の違いが存在するように思っているけど、学習による習慣的動作の可塑性って、ぼくらが直観しているよりも、はるかに高いんじゃないだろうかと思うのです。

大阪ではエスカレーターの右側に並び、急ぎの人のために左側を空けておく。反対に東京ではエスカレーターの左側に並び、右側を空けておく。この左右には何の意味もなく、偶然どちらかに偏りが生じたのが拡大して固定化された結果という程度のこと。

人間の利き手も、その程度のことじゃないのか。赤ん坊のとき、右利き用の道具に囲まれているから、右利きになるだけだと。いったん右側で学習が始まると学習の相乗効果が生まれるから、右がどんどん有利になってしまう。

局所的に見ると、左右が逆転することもある。お箸を左右で持ち替えて驚くのが、お茶碗を利き手で持つことの意外な難しさ。左手は補助的な動きには慣れていて、右手が何かを操作するとき、それに合わせて物体のアングルを変えたり、回転させたりするといったことはうまい。ところが右手は、そういうのをあまりやったことがないから、お椀関係を右手でもつと不思議な無力感に襲われる。

むかしギターを弾いていたぼくは、たぶん左手でコードを抑えていた関係で、パームスピニングに関しては左手のほうがずっと滑らかに動く。これも局所的な逆転の例。

そういえば右利き、左利きでは、こんな話もある。古来、戦争で不利なのは左利き。なぜなら右手で盾をもつと左側にある心臓を刺されて死ぬ確率が高いから。あるいは近代戦争にしても、銃砲は右利き用に作られていて、左利きは熟練するのに時間がかかるので、やっぱり不利。だから戦死率が高い。これが世の中に右利きが多い理由だという。でもまあ、この説はすでに統計的に否定されているらしいです。

サイエンスの世界では、右利き、左利きの偏りに関する説は諸説あって、どれもいまだ決定打に欠けるということだけど、習慣的動作の意外な可塑性の高さを知ると「環境決定説」を支持したくなるなぁ。単にエスカレーターで右側に並ぶようになるか、左側に並ぶようになるかの違い。

いや……、そういえば胎児の時期にアンドロゲンシャワーを多く浴びた脳が左利きになりやすいという話もあるなぁ。左利きは男性に多い。建築家、数学家、音楽家に左利きが多いとも言う。

ともあれ、練習すれば左手(非利き手)もかなり使えるという事実は、練習しても左手はなかなか使えないという事実(両方とも真実だ)とともに、ジャグラーにはよく知られているところ。局所的な逆転も簡単に起こることで、ピルエットの蹴り足が非利き手側だったり(球技の世界でピボッティングと言えば、ふつうは利き足じゃない側を軸にしますよね)、同じ右利きでもキャリーの方向が逆なんてのは日常茶飯事。やりやすいと感じるほうで練習をはじめるわけだけど、左右非対称な技のなかには、練習しはじめのころに右も左も難易度が同程度に感じられるものが結構あるというわけです。

もっと意図的に、日常生活で左右を入れ替えてみると、どうなるだろうかと、またすごく変人ぽいことを考えていたりする今日この頃です。

投稿者 ken : 2005年09月06日 12:58

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://d-code.org/blog/mt-tb.cgi/130

コメント

私も弦楽器を弾くので最初にパームロール始めたときは左手の方が良く動いた。ただし右手よりも指が開くのでその間にボールがはまり、上下動が激しい状況であるので結果的には右手の方がきれいに回せる。あとやはり右上がりの文字の方が美しく感じるものですねえ。

投稿者 シガる : 2005年09月06日 16:05

いえ、どうも音楽とは関係なしに、

パームロールは左の方が上手い

人はけっこう沢山いるようです。私自身も、音楽と関係無に左の方が良く回るのです。左が上手な人がけっこういる理由は良くわかりません。

投稿者 にしの : 2005年09月06日 20:49

あ、シガるさん、どうもどうも。
そうですか、結果的に右のほうが。まじめにやれば利き手には
かなわないってことかしら。

そういえば思い出しました、左手はテレビを見ながらとか、
何かをしながらでも使えるので、パームスピニングの練習時間が
長いのじゃないか疑惑もありました。ジャグラー同士が立ち話
しているときも左手で回している人が多いですよね。

にしのさん、

なるほど、楽器はさほど関係ないんでしょうかねぇ。
お茶碗の例でもそうですが、左手は補助的な動きをすることが多く、
何かを回転させたり、送ったりするような動きを得意とするようです。
そういうことと関係があるのかなぁという気もしていました。

肩が死にそうに痛かったときは、何の練習もする気になれませんでしたが、
左手のパームスピニングぐらいは、そろそろやりはじめています。

難点は、1日30分以上やると小指あたりに違和感が出てくることだったり
します。というか、キーボードを叩きすぎてもやばい感じなんですが。
腱鞘炎ってヤですねぇ。

投稿者 西村 : 2005年09月06日 21:27

私は左利きですが、矯正されたのでお箸とペンとリンゴの皮をむくときの包丁だけは右手で使います。
でも、それ以外は全部左手なんですよね。
この矯正を受けたのはずいぶん幼いころ(特に端などは)で、
親はずいぶん奮闘したみたいですが、結局これだけしか
右手使いにならなかったところを見ると、環境だけでは
説明できないものは確かにあると思います。

ただ、世の中の仕組のせいで、左利きの人間は逆側の手も
使わざるを得ないことが多いので、割と抵抗なく左右の手の
役割が交換できたりもします。

観察してると面白いのですが、スパナでボルトを締めたり
するときに、右利きの人は角度が悪くてもナントカ右手で
やろうとするのですが、左利きの非は左手でやりにくかったら
すぐに右手にもちかえて作業しようとします。もちろん
個人差はありますけど。

ちなみに、逆側の手は補助的に使うことが多い関係上、
利き手よりも柔軟性があるのが普通だそうです。
片手を肩の上から、もう片手を腰から回して背中の後ろで
手を繋ぐ場合、大概の人は利き手を肩の上から回さないと
繋げないらしいですね。
言われてみればわたしも、肩関節は右肩しか外せません。

投稿者 セバスちゃん : 2005年09月07日 00:43

こんにちは。怪我の話、自分のことのように不安になりながら読んでいます。ジャグリングをしている限り、いつかはやってしまいそうだし・・・。

私は楽器は一切できませんが、やっぱり左のパームスピニングのほうが得意です。西村さんが言うように、左手に合った動きなのかもしれません。

パームスピニングの練習は、昼休みにほぼ毎日やっていますが、やっぱり30分もやれば違和感がでてました。うまくなってきてからは無駄な力が抜けたせいか、1時間ぐらいもちますが。1回腱鞘炎になりかけたので、ちょっとでもピリッっと腕に違和感があれば止めるようにしています。それでも4ヶ月も練習したので、かなりスムーズに回るようになりました。

早く練習できるようになるといいですね。さんたまで復活した西村さんに会えるのを楽しみにしています。

投稿者 SORA : 2005年09月07日 00:51

私もセバスちゃんと全く同じタイプの左利きです。箸とペンと包丁は右ですが、ボール投げやラケットは全て左です。肩ははずせませんけど。包丁に関しては左利き向けのものが回りになかったので泣く泣く使っていていつのまにかという感じでしょうか。出刃を使うときなどは刃の向きが逆なのに左で握ることがあります。求む左利き用の安価な出刃。
太神楽の芸は左右非対称なものが多いのですが、左右ひっくり返して練習はしないのだそうです。まあ人に見せるのならどちらか片方できてればいいわけですが。
最近は動きよりも左右の関節の稼働域の差が気になるようになりました。人間の体って非対称なのね。

投稿者 くろせ : 2005年09月07日 06:59

もう1個補足。
パームスピンは、左利きにもかかわらず(?)左手のほうが
得意です。
まあ、ネットしながら右手にマウス、左手にボール、といった
ながら練習ばかりしていたせいですけど。

ただ、あまりにも右手が上達しないので、一時期
足でマウスを操って、両手でボールを回しながらネットする
練習もしていましたが、足だとドラッグ&ドロップとか、
クリックしたまま持ち上げたりとかが対戦難しかったため
断念しました。
でも、今考えたら、マウスに鼻緒をつけてやれば結構
快適に使えそうな予感がします。作ってみようかなぁ

投稿者 セバスちゃん : 2005年09月07日 11:51

おぉ、次々とみなさんコメントありがとうございます。

いや、意外に左利きが多いですね。矯正の苦い思い出(?)が……。

セバさん、左利きの人はすぐに非利き手に持ち替えて
試すという発想が出てくるというのはその通りでしょうね。
右利きは左手でできるなどと思わないのがふつうかも。

非利き手側の肩が相対的に柔らかいのは、おもに筋力の
問題かと思っていました。不思議なぐらい差がありますよね。

そうそう、足でマウス操作という話。
マウスよりトラックボールだとイケるかもしれませんよね。
足操作で思い出すのはキーボードの一部をフットペダルで代用した
経験者の話です。足は、どんなに練習しても指先の動きの敏捷さに
遙かに及ばないうえに、手と連携した動きがなかなか上達しないと
いう話でした。SHIFTやCTRLを足でなんてのは無理だそうです。
まあ、カーソル移動ぐらいならできるかもしれませんが。

SORAさん、たぶん怪我は怖がっているぐらいのほうがいいと
思います(笑) で、本当に怖がるためには1度や2度ぐらいは
やっておいたほうが……。ひひひ。

10月までに完治というのはなさそうに思えてきましたが、
さんたまは行くつもりですので、よろしくですー。

投稿者 西村 : 2005年09月07日 16:56

コメントしてください




保存しますか?