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2005年07月05日
Motor Learningの教科書が届いた
注文した本が1冊だけ先に届いた。火曜日にオーダーしたものが月曜日に届いたので1週間もかかってないぞ。Amazon.comって、すごいよなー。
届いたのは、Richard Schmidt,"Motor Control And Learning: A Behavioral Emphasis, Fourth Edition"という本。500ページを超える、ごっつい本だ。重たい。
で、ぱらぱらめくった感じ、予想通りジャグラーにとって興味深いデータの宝庫と言えそうだ。まだ“モーターラーニング”が指す運動の正確な定義も読んでないけど、何かの動きを反復練習によって習得するということについて、ほとんど主要な研究成果と理論、実験結果が紹介されてるという感じ。ページを開くたびに、ぐぐぐっと食い入るように見てしまうグラフが掲載されている。
スポーツに限らずどんな分野でもそうだけど、「上達のための経験則」というものがたくさん知られている。その多くが実験や理論によって確認される一方で、経験からの推論であるように思えて、実はまったくの先入観による誤った認識であるような場合がある。
たとえば、短距離走の練習において、かつて日本の陸上界では「膝を高く上げろ」ということが常識として言われていた。練習にも、膝をあげて走るようメニューが取り入れられていた。ところが、バイオメカニクスが明らかにしたところによると、それは全然意味のない練習でしかなかった。速く走るのに必要なのは、ストライドを大きくとることと、高速に足を回転させることで、練習は、それに寄与する筋肉を集中的に鍛えることだとわかったという。結果、日本人は今やアフリカ系アメリカ人についで足の速い人種となっている。
ジャグリング界で言われる経験則にも、理論やデータで裏付けられそうな経験則と、先入観によって語り継がれているだけの神話というのがあるような気がする。一例として、「利き手じゃないほうを重点的に練習せよ」というのがある。これは習得した技術が、いっぽうの手から反対側の手へ、あるいは手から足へと「転移」するという発見からすると、間違いとばかりは言い切れないにしても、非効率的な練習法と言えそうだ。転移があるのなら、むしろ器用な手のほうから練習すべきだ。ジャグリングの練習は、タイミングや動きを模索しながら「これだ」という動きを理解するようなところがある。とすれば、そうした試行錯誤的な模索を利き手側でやらない理由はない。利き手側で理解して、習得した動きは「転移」に助けられて非利き手側で効率的に学習できる。
ぱらぱらと掲載されているグラフを眺めてみた感じ、ほとんどの経験則は正しいと言えそうな気もするけど、おもしろい発見も出てくるかもしれない。何となくそうじゃないかとみんなが言ってることであっても、実験データに裏付けられていると知ることには、大きな意味がありそうだ。というわけで、少しずつ拾い読みして、ジャグリングを練習している人にとって有益そうな情報だけでも、このブログに載せていこうかと思う。
とりあえず、1つだけ。「目標を設定したほうが上達が速い」。これは実験で確かめられている。詳しく言うと、「具体的で少し達成が難しそうな程度の目標がいい」「短期目標と長期目標の2つを持つのがいい」「目標設定は本人がやってもいいし、トレーナーがやってもいい」という感じ。
下のグラフを見ると、目標設定をせずに「ともかく常にベストを尽くして練習するように」とだけ言われた人たちは、数週間にわたるクレー射撃の練習において、明確な目標を設定した人々に比べて明らかに上達速度が遅かったということが読み取れる。
ジャグリングに限った話ではないと思うけど、目標はあくまでも短期的で具体的なものがいい。で、たぶん実現可能と思えるレベルよりやや高めにするのが良さそう。数年以内に何とかかんとかができるようになるといいなぁとか、そういう夢は夢として持つにしても、短期目標のほうが重要だろうと思う。
ぼくの例で言うと、「6ボールを年内で30キャッチしたい」なんていう、達成できなくても何ともなさそうな目標より、いま自己記録が36キャッチの(6x,4)(4,2x)で50キャッチを超えようという、向こう1週間で何とかなりそうな目標のほうが、ずっとモーチベーションを高める効果がある、というようなことだと思う。
ジャグリングは要素技術の積み重ねだろうから、目前の、具体的な目標をどんどん実現していく間に、やがて自分ではとても届きそうもなかったレベルのワザも実現可能な射程に入ってくる。たぶん。そう期待したい。
けだし、「6ボールへの道は、サイトスワップで敷き詰められている」。
投稿者 ken : 2005年07月05日 22:48
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