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2007年04月08日
読後感あれこれ
網野善彦、『中世再考』
これは、おもしろい本だ。中世の日本の庶民は、一般に思われていたよりも貧乏ではなかったし、抑圧されてもいなかったし、移動の自由もあった、「市民」的な存在だった。活発な市場経済だって江戸に始まったわけではないぞ。ということを、民具調査や限られた文献による調査から明らかにする。日本昔話じゃないけど、中世の日本の庶民といえば農民しか思い浮かべないけど、漁民や都市民、移動民がたくさんいたし、大陸や半島との交易によって財をなしていた人たちも相当いたらしい。
飯倉晴武、『地獄を二度も見た天皇――光厳院』
やっぱり気になる動乱の南北朝時代。
吉田太一、『遺品整理屋は見た!』
自殺者や孤独死する老人がいっぱい。惨殺現場も。しかし総じて想像できる範囲の話ばかりでタイトルから期待するほどはおもしろくなかった。それより、あまりにも文体がブログっぽくてビックリした。最近はオチのない短い文章が流行しているのか。陳腐な人生訓や、とってつけたような優等生的な政策提言にも鼻白む。
友野典男、『行動経済学――経済は「感情」で動いている』
人間は新古典派経済学が前提する合理的な「経済人」などではなく、様々なバイアスを受けて行動する。その法則を探りだし、モデル化しようとしてもがいている比較的新しい研究分野のコンパクトな入門書。めちゃくちゃおもしろい。非常に多数の実験や研究成果が紹介されている。
Daniel Gilbert, "Stumbling on Happiness"
誰しも、過去に自分がどう感じたか、未来にどう感じるかを想像するときには現在どう感じているかに強く影響される。そのために判断を誤る。それは不幸だと思う。ぼくはもっと合理的になりたいし、そのほうがより幸せだと思うんだけどなぁ。
Steve Cohen, "Win the Crowd: Unlock the Secrets of Influence, Charisma, and Showmanship"
マジシャンが書いた対人コミュニケーションのハウツー本。いかに自分を他人に見せるかについて徹底して考え、さまざまに実践してきた人。うーん、長年の経験から血肉となったノウハウってのは、やっぱり重みがある。それがそのまま他の人でも使えるかは別として。別に「ビジネスマンのあなたには、このテクニックはこう使える」と、無理にビジネスマンに当てはめなくてもいいのに。
島田卓、『インドビジネス――驚異の潜在力』
そろそろインド本も1冊ぐらいは読もうと思って手に取ったけど、1冊目としてはイマイチだったかも。「インドでビジネスやるってのはねぇ」というインド通オヤジの自慢げなアドバイスを聞かされただけという感じ。2ページに1箇所ぐらい「日本語がヘン!」という朱を入れたくなるほど酷い日本語だった。インド駐在が長かったからなんだろうか。
投稿者 ken : 2007年04月08日 22:31