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2006年12月15日
警察裏物語
![]() | 警察裏物語 北芝 健 バジリコ |
ちょっと警察が好きになった。
「裏」物語というより警察官の現場話や武勇伝が主体の本。章構成や文章がダラしなさすぎて、本としての体裁をほとんどなしていない。明確なオチのないエピソードも多くて、ブログのような感じ。聞き書き? 編集者は何をやってるんだ……。というマイナス面はあるけど、話の内容自体は結構おもしろい。警察官や刑事の素顔や、現場や取調室での刑事たちの行動や被疑者とのやりとりは、あまり一般に知られていない部分で興味深い。あまりに赤裸々に語る北芝氏の存在を、ひょっとしたら疎ましく思う人も警察組織のなかにはいるんじゃないだろうかという気がするぐらい。そういえば、経歴詐称疑惑がかけられたのは、そういう妬み・怨みを買ってのことだったような気もする。
最近北芝氏はテレビにもよく出ているらしいけど、地上波テレビを週に1度見るか見ないかというぼくにとって、北芝氏と言えばサイゾーの連載の人。とにかくエロくて腕っ節が強くて、ストリートワイズの塊といった印象。その動物的嗅覚で警察官の人間模様や警察組織全体の、上っ面を見ているだけでは目に見えてこないような構図というか見取図をパッと描いて一般人に見せてくれる手際の良さがある。なるほど、刑事ってそんな風に考えて行動する人達なのかとか、キャリアとノンキャリアの微妙な関係だとか人事上の慣例、あるいは警察組織に多い熊本県人たちの話だとか、同じ元警察官といっても、ぼんやりしてるだけの人間だったら、こういう組織の裏の構図は一生かかっても見えて来ないんだろうなと思う。
北芝氏の警察組織や元同胞に対する愛情は深くて、組織が持つ腐った部分を弾劾するのも、それでより良い警察になってほしいという思いがあってこと、というのがよく伝わって来る。だから、この人の苦言はとても爽やかだし、正論が多い。
ひとつ強烈に印象に残った話。東大卒なのにあえて「自分の力を試したい」とノンキャリアで警察官になった人の話。青白きインテリは厳しい現場で、まったく芽が出ないまま組織を去ったという。北芝氏は、人間というのは進むべき道を誤ると能力がある人でもそれを発揮できずに終わるんだなと、しみじみと思ったと書いている。キャリアは経済犯や政治犯を扱う捜査2課。殺人、強盗など凶悪犯を扱う捜査1課の課長というポストは必ずノンキャリアの叩き上げの刑事が抜擢されるらしい。そもそも人種が違うわけだ。
投稿者 ken : 2006年12月15日 23:07
