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2006年09月03日

必須金属

4062571234金属は人体になぜ必要か――なければ困る銅・クロム・モリブデン…

桜井 弘
講談社
1996/06

同じブルーバックスシリーズの元素事典を読んだら、哺乳類にモリブデンは必要不可欠だという記述があって驚いた。モリブデンは窒素の固定に関係する酵素で重要な物質となっている。しかも、かつて古代生物はモリブデンの代わりにタングステンを用いていた時期があるという。それはいったいどういうことなんだ。生物は手近にある材料を、手近にある存在比率から大きく外れない程度に最大限に利用し、進化してきたということなんだろう。

人体に限らず、動植物の多くは微量もしくは超微量の金属元素を必須とする。最近では鉄や亜鉛は常識だろうけど、クロムや銅、コバルトといった有害そうに思える金属や、モリブデン、バナジウム、セレンなどといった聞きなれない金属元素も、微量ながら人体にとって必要不可欠だという。

金属元素はタンパク質や簡単な有機分子の中心に位置して鎖体を作る。こうした鎖体は、多くの代謝反応に酵素として関係しており、特定の化学反応速度を、ときには数万とか数十万倍も速める。

と、こういう話し自体はおもしろいと思って手にとった本だけど、話が細か過ぎて、ややウンザリ。話の流れに脈絡がなく研究成果の羅列っぽい。そもそも、「無機生物学」という学問すら提唱している人がいるという段階で、どの金属がどういう役割を担っているのかなど研究待ちだという話が多過ぎる。一般の読者向けに1冊の本としてまとめるには、まだ学問自体が未熟な印象。

セレンを多く摂取すると乳癌の発生確率が下がるとか、マグネシウムとカルシウムの摂取比率を1対1にするといいとか、そういう具体的なアドバイスは、洒落としか思えない。セレンが多く含まれる食材リストをみて、明日から「よーし、セレンを0.1ミリグラム摂るぞ」なんて変人がいるとは、とても思えない。

投稿者 ken : 2006年09月03日 22:20

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