2006年03月01日
私の嫌いな10の人びと
中島義道『私の嫌いな10の人びと』(新潮社、2006)
最近こういう本ばかり手に取ってしまう。心には悪意と憎悪が満ちていて、それを浄化してくれる人が必要なんだな、きっと。毒には毒を。
- 笑顔の絶えない人
- 常に感謝の気持ちを忘れない人
- みんなの喜ぶ顔が見たい人
- いつも前向きに生きている人
- 自分の仕事に「誇り」をもっている人
- 「けじめ」を大切にする人
- 喧嘩が起こるとすぐ止めようとする人
- 物事をはっきり言わない人
- 「おれ、バカだから」と言う人
- 「わが人生に悔いはない」と思っている人
端的に言えば、この人は鈍感な人が嫌いと言ってるだけだ。でも、偽善的、独善的、自己満足的な人々は、不誠実なわけじゃなくて鈍感なのだ。だからそのことを責めても仕方がない。だけど、あまりにも世の中に鈍感な人が多すぎる。
鈍感でない人は、コミュニケーション上、下品な言葉を避ける傾向にあるから、「おまえは愚鈍だ。おまえは偽善者だ。自家撞着と自己欺瞞のカタマリだ」などとは決して言わない。そもそもマシな人たちはボンクラを相手にしない。それで、自分がバカであることに気づかないほど愚鈍な人間は、ますますつけあがる。そういう状況をみて、「おい、誰か何とか言ってやれよ。言わないなら、よーし、オレが言ってやらあ」てなもんで、一定の割合で、こうやって嫌われ者になる人がいるってことなんだろう。
そういうものを読んで、溜飲を下げるぼくのような人間がいる。代わりに嫌われてくれてありがとう、と言いたいけど、そう言った時点でぼくも立派な嫌われ者になってしまう。
こうした価値観から導かれる帰結であるところの常軌を逸した行動様式を、この先生は断固として貫いている。誠実というほかない。「学者はみんな人格破綻者だ」と言ってしまう学者先生らしくて、いいなぁ。
投稿者 ken : 2006年03月01日 23:51
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