2006年02月28日
新しい物性物理
伊達宗行『新しい物性物理』(講談社、2005)
ブルーバックス。ちょっと期待はずれ。「身の回りにある数百万種の物質を統一的に理解する物性物理の最前線」と帯にあるのは大げさ。物性物理をさらっと概観しつつ、最前線のトピックをランダムに拾ってぐちゃぐちゃっと書き上げた本という印象。おもしろいトピックも多数あるけど、まとまりがない。数珠のように一次元的に説明を積み重ねている印象がある。前後への参照も多くて読みづらい。想定している知識レベルが高いのか低いのかよくわからない。前提知識を不要とするような説明をしたかと思えば、急に「説明は本書のレベルを超えるので省く」的な言い回しが出てきて、なんだか、ちょっと不親切な感じ。
驚いたこと。
- K中間子やB中間子は物質と反物質で半減期が違う。という不釣り合いが、物質だけが残って反物質が消えたというシナリオ。
- 遷移元素の電子配列の妙。どうしてひょっこりと電子殻を飛び越すのか、図を見て納得した。
- 原子量が増えるにつれて白銀に近い光沢になるべき金が、なぜ銅のように色つきなのか。金の内殻電子は光速に近い速度で動いており、その結果、相対論的効果で質量が大きくなり、軌道半径が縮んでいる。金原子は本来あるべきサイズより遙かに小さく、銅に近いサイズにまで縮んでいる。
- ある種の水素結合では水素原子が隣の分子にひょっこり飛んでいっては戻ってを繰り返している。交換効果。
- 地球上の生物は例外なくL型のアミノ酸ばかり。鏡像関係にあるD型アミノ酸は一切ない。D型アミノ酸でできた宇宙人が地球に来たら食べるものがなくて死んでしまう。
磁性体の話がえらく難しくて、スピンの話について行けない……。
投稿者 ken : 2006年02月28日 23:15
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コメント
L型とR型アミノ酸の話は初期の宇宙人SFでよく使われておりましたな。
物質と反物質で半減期が違うのは知りませんでした。ただ半減期が違うといっても、崩壊すれば別の物質なり反物質になるだけなのでそれだけでは物質だけが生き残らないような気がしますね。うーむクォークと反クォークがまざるのかあ。
投稿者 くろせ : 2006年03月01日 08:26