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2005年09月04日

モンゴロイドの歩いた道

科学朝日編『モンゴロイドの道』(朝日選書、1995)

同じ筆頭筆者による同じシリーズの本だから、期待してなかったけど、このあいだ読んだ散漫な印象のネアンデルタール本に比べると、はるかによくまとまっていて読みやすい。スゴイおもしろい。同じ複数研究者によるオムニバス形式でも、もともと科学朝日の連載だったからというのもあるだろうし、プロの編集者が全体の流れをとりまとめているからというのもあるのか、いい本になっている。

モンゴロイドのほうが題材として身近だからかもしれない。ヨーロッパの地でクロマニヨン人に取ってかわられ、どこかに消え去ってしまったネアンデルタール人よりも、アジアから太平洋や南北アメリカ大陸へと広がった、日本人の直系の祖先とも言える先史モンゴロイドの歴史のほうが親近感がわく。ちょうど、南米のインディオを見て「日本人にもあんな顔した人いるよなぁ」と思うときに感じる親近感のようなもの。

シベリアからベーリング陸橋を超えて北米から南米大陸へと駆け抜けた“グレートジャーニー”だとか、メラネシアからポリネシアへ向けて「広がった」という話は聞いたことがあるけど、いつ、なぜ、どうやってという話となると、よく知らなかった。なんで、たった1000年でアラスカから南米の突端まで駆け抜けられたのか。何が彼らを駆り立てたのか。なんで島影も見えないような遠くの島へ島へとわたっていったのか……。そうしたギモンに完全に答えるはできないけど、遺伝学、免疫学、人類学、言語学の知見から、さまざまな研究者が彼らの行動の軌跡や理由、方法を推定している。

遺伝子的にいっても文化的にいっても「日本人は単一民族じゃない」という発言は、もう聞き飽きたし、そういうとき念頭にあるのはせいぜいアイヌ民族と琉球王朝ぐらいのことだろうと思うと、ますますそうなんだけど、ハッキリと証拠を示されたうえで「日本人の祖先の経路には、少なくともN通りの経路があった」と繰り返し言われると、日本人観もちょっとは変わろうってもんだ。

投稿者 ken : 2005年09月04日 23:50

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